11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:53:51.40 ID:UHZTgUVzo
「まぁ纏めるとね、仕事柄ナメられるってのはあってはならないんだよ。それが自分の身長のせいになるのは申し訳ないところが、ね?」
「……見返せばいいじゃないですか」
「幸子みたいに?」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:54:19.96 ID:UHZTgUVzo
「自覚は足りなかっただろうね。でも幸子、考えてみてよ」
「……何がですか?」
「今こうして、みんなが事務所から出払っているわけかな」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:55:02.56 ID:UHZTgUVzo
「まぁまぁ、でもこういうこと、本当はあんまり誰かに話すつもりもなかったんだけどね、つい言っちゃった」
「それはきっとボクだからですね。カワイイは罪、はっきりわかりますねぇ」
そう言うとプロデューサーさんは大きくはっはっはっと笑い出した。何がおかしいのか、ボクがカワイイことに間違いはないのに。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:55:38.24 ID:UHZTgUVzo
初めてのライブ、初めての歌。緊張しないアイドルなんていないだろう。
菜々さんや、茜さん。他にも同じ日に初ライブのアイドルがいた中、ボクは気丈に、いえ、虚勢を張って皆さんを鼓舞していたのは記憶の奥底に焼き付いている。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:57:15.90 ID:UHZTgUVzo
「あの時から良くも悪くも、12cmの距離だったんだよね」
「それは、身長的にですか?」
「悪くはそうだけど、ほら、幸子が初ライブの時に言っただろ?」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:57:58.89 ID:UHZTgUVzo
「それでどうなんです?」
「いいや、埋まってないさ」
「それじゃあどうして」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:58:28.94 ID:UHZTgUVzo
ぐぬぬと、一つ悔しそうに畝る。プロデューサーさんは、それを見るなり一つ笑みを零し一つ言葉を伝える。
「だから、良くも悪くも12cm。紅茶が冷めちゃったね、淹れ直してくるよ」
立ち上がるプロデューサーさん。そのスーツの袖を掴んで一つ、意を決する。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:58:57.34 ID:UHZTgUVzo
驚いてこちらを振り向くプロデューサーさんの頬を手で挟む。ひんやりとしたボクの掌が、プロデューサーさんの暖かな頬を撫でる。
「12cmの距離は――」
ぐっと顔を引き寄せる。どんな顔をしていいのかわからなくなる。きっと、ボクの頬は、耳はとても紅くなっているのだろう。だけど知ったものか。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:59:24.01 ID:UHZTgUVzo
プロデューサーさんとボクの距離は良くも悪くも12cm。だけども、その12cmはプロデューサーさんからの贈り物なのかもしれない、だなんて言うと怒られてしまいそう。
プロデューサーさんはこの後なんて言うだろうか、怒るのか、恥ずかしがるのか。照れるなら、一緒に照れてしまいそうだけど、この天邪鬼なくちびるには、期待できそうにない。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:59:50.09 ID:UHZTgUVzo
「――キスをしやすい身長差なんですよ」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 03:00:24.23 ID:UHZTgUVzo
それから先、何が会ったかはボクからは伝えたくはない。ただ、みんなが忙しそうにしている冬のとある日。暖かな部屋の中で紅茶の香りを楽しんだことを忘れることはないだろう。
小さいプロデューサーさんと、カワイイボク。みんなからしたら小さい彼は、ボクにとっては大きい彼。
12cmの距離を埋めるには、まだまだ遠い道のりなのかもしれない。
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