過去ログ - 幸子「12cmの贈り物」
1- 20
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:51:41.47 ID:UHZTgUVzo
 プライド、自信、そんな言葉をボクの前で言いたくは無かったのだろう。だけども、ボクにとってはちっぽけなものでも彼にとっては大きなものなのかもしれない。

「身長にプライドを割くなんて、可哀想ですね。ボクのプロデューサーとして自覚ないんじゃないんですか?」

「ご、ごめん」
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:52:07.57 ID:UHZTgUVzo
 そう言うとプロデューサーさんは立ち上がり、話が長くなりそうだからといって給湯室に入っていった。紅茶で良いかという少し張った声に、反射的にお願いしますと答える。

 プロデューサーの淹れる紅茶は嫌いではない。昔に齧った程度の知識らしいのだけど、普通にボクが淹れるよりかは美味しい。それがまた、女の子としても悔しいところだったりする。

 ソファーにもたれかかりながら、プロデューサーさんを待つ。部屋の中は暖かい。冬のこんな時期だというのに、暖かいというのは幸せなことなのだろう。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:52:35.29 ID:UHZTgUVzo
「何やってるの?」

「ひゃ、ひゃい!?」

 突然かけられた声に素っ頓狂な声をあげて、後ろを振り向く。盆の上にポットとカップを載せ、俄然悠然と立っているプロデューサーさんだった。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:53:02.50 ID:UHZTgUVzo
 カップに紅茶を注ぎながらぽつりぽつりと話しだす。紅茶が入る前のカップは、ほんのりと温かかった。

「営業先の人とかにね横柄な態度を取られたり。まぁ理由は言わなくても、幸子ならわかるよね」

 その言葉に胸を詰まらせる。今はもうないけれども、ボクがデビューし初めの頃なんかは、その、言葉に表したくないことだってあった。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:53:51.40 ID:UHZTgUVzo
「まぁ纏めるとね、仕事柄ナメられるってのはあってはならないんだよ。それが自分の身長のせいになるのは申し訳ないところが、ね?」

「……見返せばいいじゃないですか」

「幸子みたいに?」
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:54:19.96 ID:UHZTgUVzo
「自覚は足りなかっただろうね。でも幸子、考えてみてよ」

「……何がですか?」

「今こうして、みんなが事務所から出払っているわけかな」
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:55:02.56 ID:UHZTgUVzo
「まぁまぁ、でもこういうこと、本当はあんまり誰かに話すつもりもなかったんだけどね、つい言っちゃった」

「それはきっとボクだからですね。カワイイは罪、はっきりわかりますねぇ」

 そう言うとプロデューサーさんは大きくはっはっはっと笑い出した。何がおかしいのか、ボクがカワイイことに間違いはないのに。
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:55:38.24 ID:UHZTgUVzo

 初めてのライブ、初めての歌。緊張しないアイドルなんていないだろう。

 菜々さんや、茜さん。他にも同じ日に初ライブのアイドルがいた中、ボクは気丈に、いえ、虚勢を張って皆さんを鼓舞していたのは記憶の奥底に焼き付いている。

以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:57:15.90 ID:UHZTgUVzo
「あの時から良くも悪くも、12cmの距離だったんだよね」

「それは、身長的にですか?」

「悪くはそうだけど、ほら、幸子が初ライブの時に言っただろ?」
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:57:58.89 ID:UHZTgUVzo
「それでどうなんです?」

「いいや、埋まってないさ」

「それじゃあどうして」
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:58:28.94 ID:UHZTgUVzo
 ぐぬぬと、一つ悔しそうに畝る。プロデューサーさんは、それを見るなり一つ笑みを零し一つ言葉を伝える。

「だから、良くも悪くも12cm。紅茶が冷めちゃったね、淹れ直してくるよ」

 立ち上がるプロデューサーさん。そのスーツの袖を掴んで一つ、意を決する。
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:58:57.34 ID:UHZTgUVzo
 驚いてこちらを振り向くプロデューサーさんの頬を手で挟む。ひんやりとしたボクの掌が、プロデューサーさんの暖かな頬を撫でる。

「12cmの距離は――」

 ぐっと顔を引き寄せる。どんな顔をしていいのかわからなくなる。きっと、ボクの頬は、耳はとても紅くなっているのだろう。だけど知ったものか。
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:59:24.01 ID:UHZTgUVzo
 プロデューサーさんとボクの距離は良くも悪くも12cm。だけども、その12cmはプロデューサーさんからの贈り物なのかもしれない、だなんて言うと怒られてしまいそう。

 プロデューサーさんはこの後なんて言うだろうか、怒るのか、恥ずかしがるのか。照れるなら、一緒に照れてしまいそうだけど、この天邪鬼なくちびるには、期待できそうにない。


20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 02:59:50.09 ID:UHZTgUVzo



「――キスをしやすい身長差なんですよ」



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/26(木) 03:00:24.23 ID:UHZTgUVzo
 それから先、何が会ったかはボクからは伝えたくはない。ただ、みんなが忙しそうにしている冬のとある日。暖かな部屋の中で紅茶の香りを楽しんだことを忘れることはないだろう。

 小さいプロデューサーさんと、カワイイボク。みんなからしたら小さい彼は、ボクにとっては大きい彼。

 12cmの距離を埋めるには、まだまだ遠い道のりなのかもしれない。
以下略



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/26(木) 03:00:47.23 ID:WUTxT0d9o
幸子カワイイ!


23:1 ◆H97.geL.RM[saga sage]
2013/12/26(木) 03:01:11.89 ID:UHZTgUVzo
終わりです。クリスマス幸子? 知らない子ですね……。


24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/26(木) 04:48:25.74 ID:1OimslLio
スレタイチ○ポ余裕


25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/26(木) 09:37:12.37 ID:KCphjh1no



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/12/26(木) 14:28:52.98 ID:brjUzLpw0
小梅版、輝子版もぜひ!


27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/12/26(木) 14:41:55.50 ID:n41PMO2x0
じゃけんカワイイ幸子はプレゼントBOXに入れて配達しましょうねー


27Res/13.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice