103:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:17:15.87 ID:rvZEoW38o
「あたしは、生きたんだ。色んな人に関わって、幸せバカから一気に突き落とされて、失恋して」
104:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:17:54.58 ID:rvZEoW38o
いつの間にか、彼女の眼には涙が。
ここからは見えないけれど、佐倉杏子の眼にも、それが溢れているのだろう。
同じく、私の視界も、どうしようもないくらいに滲んでいた。
105:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:18:42.82 ID:rvZEoW38o
「断るって、言ったら」
「断らないでしょ。だって、あんただもん」
106:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:19:15.28 ID:rvZEoW38o
振り向いて必死の抗議をする佐倉杏子の目には、やっぱり、隠しきれないほどの涙。
膝をついて、海水に満たされたこの空間で、彼女の涙がそこに混ざっていく。
美樹さやかの涙もまた、瞼からこぼれて、混ざっていく。
107:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:22:22.73 ID:rvZEoW38o
三度包まれた白い光から、ようやくの視界を取り戻す。
私たちはまた、空と海だけがあるところへと戻っていた。
そこには、先客が一人。
108:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:23:16.43 ID:rvZEoW38o
「似合ってるわよ」
「そりゃ、どうも」
109:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:25:11.83 ID:rvZEoW38o
そして、もう一人も、然程を待たずに現れる。
私たちの立つ場所より少し遠くから、とぼとぼと、歩いて。
人影は一つで、小柄な彼女を連れてはいない。
そのことを遠目に捉えて、少しだけ、悲しくなった。
110:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:25:39.33 ID:rvZEoW38o
少しずつ大きくなる彼女の姿。
見えて来たのは、べべと呼ばれたあの子の姿。
それをしっかりと胸に抱えて、巴マミは私たちのところへと歩み寄る。
そして、首を振った。
111:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:26:29.36 ID:rvZEoW38o
「あの子が、最後に投げてよこしたの。これをなぎさだと思って生きるのです、って」
112:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:28:35.22 ID:rvZEoW38o
彼女の手は、届かなかった。
ぶつかりあった二つの想いは、この結果を与えたと、そういうこと。
巴マミの手元に、その欠片だけを残して。
私は掛けるべき言葉を探して、すぐにそれを見つける。
113:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:29:27.51 ID:rvZEoW38o
ぽりぽりと頬を掻いて、杏子は目を逸らす。
それが意味する所は何かと、少しだけ訝しんだけど。
そんな心配は、無意味だった。
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