99:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:13:33.11 ID:rvZEoW38o
一度、休みに入ったのか、バイオリンを置いて。
変わらず続くピアノの音を聴きながら、彼女は遥か高くを見上げる。
その先には水面があって、空が在る筈だけれど、深く淀んで何も視えない。
100:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:15:25.91 ID:rvZEoW38o
愛おしそうに、バイオリンを抱きながら、美樹さやかが言う。
言う通り、それが、潰れた彼女をまた繋ぎ合せたのだろう。
そんな様子に何を思うのか、佐倉杏子はまた声を震わせる。
101:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:15:53.50 ID:rvZEoW38o
息を継ぐ間もないほどの勢いで、吐きだされた疑問には、答えずに。
バイオリンを離して、休んで、また肩に乗せて、弾き鳴らす。
幾小節かを終えてやっと、彼女は返事のための口を開いた。
102:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:16:37.25 ID:rvZEoW38o
「生き帰ってさ、色んな心残りを果たしたとしてもさ」
103:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:17:15.87 ID:rvZEoW38o
「あたしは、生きたんだ。色んな人に関わって、幸せバカから一気に突き落とされて、失恋して」
104:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:17:54.58 ID:rvZEoW38o
いつの間にか、彼女の眼には涙が。
ここからは見えないけれど、佐倉杏子の眼にも、それが溢れているのだろう。
同じく、私の視界も、どうしようもないくらいに滲んでいた。
105:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:18:42.82 ID:rvZEoW38o
「断るって、言ったら」
「断らないでしょ。だって、あんただもん」
106:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:19:15.28 ID:rvZEoW38o
振り向いて必死の抗議をする佐倉杏子の目には、やっぱり、隠しきれないほどの涙。
膝をついて、海水に満たされたこの空間で、彼女の涙がそこに混ざっていく。
美樹さやかの涙もまた、瞼からこぼれて、混ざっていく。
107:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:22:22.73 ID:rvZEoW38o
三度包まれた白い光から、ようやくの視界を取り戻す。
私たちはまた、空と海だけがあるところへと戻っていた。
そこには、先客が一人。
108:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:23:16.43 ID:rvZEoW38o
「似合ってるわよ」
「そりゃ、どうも」
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