5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:33:15.06 ID:bEFC5GTXo
「別に……クラシックとか」
「クラシック」
彼はまるで初めて聴いた言葉のように、おうむ返しにした。
ジャズ、と答えても、ハードコアパンク、と答えても、きっと同じようにおうむ返しにするんだろう。
6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:34:18.05 ID:bEFC5GTXo
「ほら、"展覧会の絵"ですよ」
何故だか私は食い下がった。
お互いに、知らない知らないでこの会話を終わらせるのは何だか居心地が悪かったのかもしれない。
展覧会の絵。名前だけなら、いやメロディなら誰でも一度は耳にしたことがあるはずだ。
7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:35:25.54 ID:bEFC5GTXo
「もしもし、お母さん?」
家に帰って、食事と一通りの家事と風呂とを済ませた後、母親に電話をした。
彼の言っていた曲名を告げると、母は、ああ、あれね、と軽くメロディを口ずさんだ。
私はそのメロディにああ、あれね、とは言えなかった。初めて聴いたのだった。
8:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:36:35.29 ID:bEFC5GTXo
翌日、私は練習を休んだ。旧校舎には寄らず、げた箱から昇降口を出て五月の夕方を泳いで行った。
いつもよりちょっと遠回りの道を歩いていく。道行く人の顔ぶれも全然違う感じがした。
いつもの時刻、いつもの道ですれ違う人々のことを覚えているわけじゃなかったけど、
やっぱりいつもとは違う感じがした。
9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:37:53.02 ID:bEFC5GTXo
さて、次は"いーえるぴー"だ。
とりあえず、同じ邦楽の"い"の欄を探す。無かった。
"え"の欄を探して、結局こちらも見つからなかった。
10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:39:09.90 ID:bEFC5GTXo
あった。"展覧会の絵"と印刷された背表紙。そのアルバムを外側のケースから抜き取って、スピッツに重ねた。
なんとなく、ELPのアルバムをもう一枚重ねた。
"恐怖の頭脳改革"という妙なタイトルが気になったのだった。
11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:39:54.15 ID:bEFC5GTXo
昨日借りたのは、"当たり"だった。アイアン・メイデンとポリスは元々好きだったし、
今度安いのを見つけたら買っておこうと決めた。
スピッツとELPはどれから聴くか迷って、
まず、"恐怖の頭脳改革"をプレーヤーにセットした。
12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:41:21.06 ID:bEFC5GTXo
さて、私は基礎練習は毎日同じ量をこなす。
今日も同じ量をこなしたが、いつも楽しくてじっくりやれる練習に何かじれったさを感じた。
練習を切り上げて、自由時間に入る。
今の気分は――決まっている。今の気分は昨日の夜から、決まっている。
13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:42:27.92 ID:bEFC5GTXo
歌い終わると、先生は盛大な拍手を送ってくれた。
二か所、音程がぐらついたのと、ビブラートがへろついたのとで、私は自分の歌に不満だった。
「いや、如月、すごいよ。素敵だ」
「でも……ミスしました」
14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:43:07.46 ID:bEFC5GTXo
「辞めました。つい、一週間くらい前に」
「そうか。……でも、練習は続けるんだな」
「まずいですか?」
「いや……まずいってこたない」
15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:44:12.72 ID:bEFC5GTXo
「合唱部なら色々と学ぶこともあるかと思ったんですけど、あの調子ですから」
先生は目を細めた。あの調子、を想像しているのかもしれない。
「ここで練習、しても構わないですよね?」
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