83: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 11:57:35.93 ID:hodrlcSw0
僅かにあたしのスタートの方が早い。スカジャンの裾を挟む形で壁が閉じ、同化する。スカジャンもその中にきっちりと埋まっている。
構造変化はどうやら一端の終結を告げたようで、耳鳴りのするような静寂がいつの間にか戻っていた。目を凝らしてあたりを窺ってみるも、特に動きはない。
スカジャンを脱いでせめて腕章だけでも取り外す。学校指定のシャツにタイ。少しだけ肌寒さがあった。ただ、それを感じていられるうちが華なのかもしれないけれど。
84: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 11:58:33.12 ID:hodrlcSw0
再度光が迸った。あたしは跳んでくる全て、向かってくる全てに一瞥もくれず、ただひたすら光を追って全速前進。
ばちばち、がちがちと体に何かの破片や角や固いものが当たる。打撲で鈍い痛みが襲ってくる。息を吐き出して止まりそうになるのをこらえ、歯を喰いしばって、根性を見せてやるのだ。
腕章「ぐ、ぅ、はっ!」
85: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 11:59:08.97 ID:hodrlcSw0
腕章「……」
気が付けば吐いていた。
86: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 11:59:51.94 ID:hodrlcSw0
ぞわり、と鳥肌が全身を駆け巡った。あのやる気のない、生気の無い喋り方からは想像だにできない、惨状だった。
??「あぁ、見られちゃいまし、た」
87: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 12:00:19.89 ID:hodrlcSw0
??「もう、誰にも、会いたくないで、す」
腕章「……最悪」
88: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 12:01:08.80 ID:hodrlcSw0
詰襟「だぁからてめぇは人使いが荒いんだっつーの! 一応俺はてめぇの敵だぞ! 躊躇なく助けを求めるんじゃねぇよ!」
腕章「来てくれたじゃん」
89: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 12:01:40.18 ID:hodrlcSw0
詰襟「てめぇほんっと最低だな!」
腕章「でも、最悪じゃない。でしょ」
90: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 12:03:37.75 ID:hodrlcSw0
詰襟「おい、『天網恢恢』」
腕章「なによ」
91: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 12:05:38.89 ID:hodrlcSw0
詰襟「構わん。俺は俺の信念にのっとるだけだ。それから先は、好きにすればいい」
腕章「……そこの壁、砕いて」
92: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 12:06:10.35 ID:hodrlcSw0
腕章「え? ……は?」
夜の風がやけに冷たかった。
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