過去ログ - 走れエロス
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26: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:40:56.72 ID:xpCfEu5V0
本の表紙はうら若き女性が飾っていた。

ただ今絶賛売り出し中の新人グラビアアイドルらしい。

名前まで覚えていないものの、健太もしばしばその顔を見かけている。
以下略



27: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:41:54.78 ID:xpCfEu5V0
上から下へ、ゆっくりと表紙を視線で舐める。

黒くツヤのある滑らかなショートヘア。

物欲しそうに訴える黒い瞳。
以下略



28: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:43:00.33 ID:xpCfEu5V0
健太は合掌して頭を下げた後、その本を背の中、即ち上着の下に滑り込ませた。

そして腰とベルトの隙間に差し込み、落ちないようにしっかりと体に固定する。

同時に下の階から電話が鳴った。
以下略



29: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:45:21.08 ID:xpCfEu5V0
太郎は道半ばに差し掛かっていた。

学校周辺は人通りが多いが、ここまれ来ればその心配も殆ど無かった。

だが良い事ばかりではない。ここ暫くは緩やかな上り坂が続く。
以下略



30: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:46:46.09 ID:xpCfEu5V0
太郎は遠目にその姿を観察した。

全員仲良く丸坊主。無駄に脂肪の乗った頬と顎。

パツンパツンに着膨れした体躯から、ムチムチした手足がニョキニョキと生えている。
以下略



31: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:48:06.66 ID:xpCfEu5V0
やむなく太郎は、道の端に寄って一人の脇をすり抜けた。

だがその刹那、太郎の倍はあろうかという野太い腕が、その首筋にぬっと伸びた。

太郎の体が軽々と浮く。
以下略



32: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:49:41.41 ID:xpCfEu5V0
「うわああああああああっ!」

太郎は目を閉じ、矢鱈目っ鱈に両腕をブンブン振り回した。

その回転たるや、まるで壊れた猫車。拳は空しくクルクル宙を回り続ける。
以下略



33: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:50:31.53 ID:xpCfEu5V0
だが取り出した財布を開けるや否や、三人は揃って渋い顔をした。

本当に小銭しか、しかも86円しか入っていなかったのだ。

「シケてごわす」
以下略



34: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:51:11.21 ID:xpCfEu5V0
太郎は暫くの間、地面に伏てウンウンと唸っていた。

やがて痛む頬を擦りながら、ゆっくりと上体を持ち上げた。

散らかった書類や教科書を掻き集め、財布と一緒にカバンの中に仕舞い込む。
以下略



35: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:52:10.62 ID:xpCfEu5V0
もはや使えない。火を見るより明らかだった。

前輪はパンクし、フレームも大分曲がっている。

やむなく自転車を置いて行く事にした。今は兎に角、時間が無い。
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36: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:53:28.29 ID:xpCfEu5V0
2キロ程走ると川に出た。

幅50メートル程の小さな川で、片側一車線の橋が一本だけ架かっている。

この橋を渡れば、太郎の家までもう少しだ。
以下略



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