82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:10:28.67 ID:Gqx9SXLWo
◆ ◆ ◆
プラスチック製トレイの上に散らばった紙コップや
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2014/08/30(土) 23:12:42.13 ID:Gqx9SXLWo
ほら、行くぞ、注文だと思われるから、
なんて手を引こうとしたのに
指先だけ触れたまま一歩も動けなかったのは、
私だってここを立ち去るのが名残惜しかったから。
84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:14:55.63 ID:Gqx9SXLWo
「……律。そこ段差あるよ」
転ばなかった。
手をくいっと引かれて、かろうじて立ってた。
85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:17:09.20 ID:Gqx9SXLWo
夜遅くに着いた時は物珍しく見えた町並み、
明るくなって見ればうちの近所と変わらない景色だった。
ビジネスバッグを抱えた男が
86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:19:22.70 ID:Gqx9SXLWo
「日本って、狭いな」
早足の人たちにぶつからぬように、
日陰の部分を選んで歩きながら言った。
87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:21:37.13 ID:Gqx9SXLWo
つまり、発想の逆転だった。
家に帰って
お金とか 時間とか 受験や いろいろで
自分の町から出られなくなったって、
88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:23:50.58 ID:Gqx9SXLWo
「唯と連絡取ってたんだ。
一昨日から、律がぼーっとしてる時とかに。
さっきコンビニで、
律のお母さんに借りた交通費を私の口座へ送ってもらった時も、
89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:26:04.09 ID:Gqx9SXLWo
「あいつには頭があがんないな、しばらくは」
ぼやいたら、ちょっと怒ったような声が返る。
90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:28:18.08 ID:Gqx9SXLWo
想像力と体温がつきない限り、どこにだって行ける。
それだけで、私、これからも生きていける。
澪がいうのはそういうことらしい。
91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:30:31.56 ID:Gqx9SXLWo
信号が青に変わった。
隣からスーツの女性が一足先に歩き出す。
続いて学ランの男子生徒たち。
日傘を差した妊婦さんは、少し遅れて。
92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2014/08/30(土) 23:35:26.22 ID:Gqx9SXLWo
ああ、そうだ。
きょうも寄り道して帰るんだったっけ。
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