過去ログ - 苗木こまる「雨はハレ」
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2: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:22:56.69 ID:FWRyUZRr0

 町に、殺人鬼がいる。
 正体不明。
 もう四人殺しているが被害者の共通点は見出されていなかった。標的となったのは少年、老女、女、男。老若男女揃い踏みだった。
 ただ明らかなことが二つあった。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/08/31(日) 22:24:02.46 ID:GpG9RFqZO
どうも、相沢です。
わかる人にはわかると思うのですが、、例のうみりんスレの>>1が逃亡してしまったみたいなのでターゲットをこのスレに変更します。
荒らし方はあのスレと同じで
、文字化けレスをID変えながらひたすら投下していきます。
スレが完結したり、途中で>>1が逃亡した場合はまた別のラブライブ!スレに移動させていただきます。
以下略



4: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:24:53.15 ID:FWRyUZRr0

 格好のネタに「レインキラー」だの、「切り裂きジャック」だの、報道はこぞって様々な呼び名で騒ぎ立てたが、初めに誰が呼んだか犯人の呼称はある一つに収束した。

「雨男」

以下略



5: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:28:09.82 ID:FWRyUZRr0

 教室のカーテンレールに、てるてる坊主が五つ、吊り下がっていた。
 降り続ける陰鬱な雨と、それと共にやってくる殺人鬼の恐怖に辟易したクラスメイトが、梅雨が明けることを祈り、吊るしたらしい。

「ほんっと危機感ないよね。こまるは」友人は呆れ顔で、文庫本を開いた。「困るわ」と言ったのではない。「こまる」というのが、わたしの名前だ。うちの親は至ってごく普通の親のように思えるが、厄介なネーミングセンスを持っていたようだ。兄は普通の名前なのに。
以下略



6: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:29:44.17 ID:FWRyUZRr0

「ほんとに?こまる、よくぼさっとしてるからなあ。今もそうだった」文庫本に目を落としながら、失礼なことを言ってくる。俯くと長い睫毛が目立つ。

「それはただ……」

以下略



7: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:32:34.02 ID:FWRyUZRr0

----- ✂︎ -----


 最近のわたしはどうもツイてないらしい。
以下略



8: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:34:20.05 ID:FWRyUZRr0

 しかし、テロリストに封鎖され絶望の監獄と化したビルには、希望が紛れ込んでいた。
 捕まっていなかった兄が、武装集団の砦にわざわざ潜り込んでいた。
 あらゆる超高校級の才能が集う学園の生徒である兄だったが、わたしと同じような凡人のはずだった。だから、恐ろしいテロリスト相手に武器なし策なしの兄が敵うはずもなく、あっさりとやられてしまうのが世の理というものだ。
 世の理はひっくり返っていた。
以下略



9: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:37:12.23 ID:FWRyUZRr0

 超高校級の幸運と呼ばれる才能が、ただ一発のくじ運にとどまらないものである、と思い知らされたこの出来事を境に、わたしの不幸が始まる。



10: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:38:25.00 ID:FWRyUZRr0

 エレベーターに閉じ込められ、体育倉庫に閉じ込められ、山へ行けば遭難し、川へ行けば流された。
 そして、街を歩けば品の良くない男二人に絡まれる。



11: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:40:32.38 ID:FWRyUZRr0

 雨の中、学校から家まで走り着いた時、今度兄が寮から帰ってくることを思い出したわたしは、そうだプレゼントでも探そう、と思い立ち、学校での友人の言葉も忘れ、ずぶ濡れの制服を着替えてから傘を掴んで家を出た。
 駅の周辺を歩き回っているうちに、空は雨足を変えぬまま、夜の帳を下ろしていた。
 雨で、しかも夜。
 結局何も買えなかったが、このままうろつき続けるのはまずいことはわたしにも解った。
以下略



12: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/08/31(日) 22:42:16.92 ID:FWRyUZRr0

 青頭がわたしの傘を畳みながら、自分の傘の中にわたしを引き寄せて、何事かをべらべらとまくし立てる。全然頭に入ってこない。
 チューニングの合わないラジオを相手にしているようだった。断片的に「雨宿り」とか、「雨男」とか、「送ろうか」とか、「泊まろうか」とか聞こえてくる。
 必死に、いいですいいです、と逃げようとするが、いいからいいから、と強く肩を抱かれ、逃げられない。金髪がかん高い声で笑う。
 そうして、望まない相合傘でふらふらしてるうちに、暗い路地裏まで引っ張られていることに気づく。
以下略



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