過去ログ - 苗木こまる「雨はハレ」
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41: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:21:32.98 ID:UDVM4aPw0

 部屋に沈黙が流れる。

「え?」殺人鬼を名乗ったと思ったら、今度は、人を殺せない、とは。「本当ですか?一体、どうして」

以下略



42: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:23:09.03 ID:UDVM4aPw0

「まさか、それで人を殺さないって約束を取り付けられたんですか?」この、ジェノサイダー翔が?「逃げ切られたんですか?」

「まったく、とんだラッキーボーイよねぇ」ジェノサイダーは、まるでその人物が目の前にいるかのように、笑った。「あんな小僧との約束なんざ、律儀に守る必要ないはずなんだけどさあ。なぜか、どうしても、破れないのよね」

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43: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:24:58.71 ID:UDVM4aPw0

「なんであれ、アタシの獲物の命を掻っ攫った以上、あの男には、自分の命でツケを払って貰わなきゃ気が済まねえのよ。だからアタシは雨男を探してた」

 それはそれで凄い言い分ですね、と、わたしは思ったが、口には出さなかった。

以下略



44: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:28:02.90 ID:UDVM4aPw0

 再び、しばしの沈黙が流れた。
 言い回しにどこか引っかかるものがあるが、殺人鬼が消え去るのなら、それは世界にとって喜ばしい。そのはずだ。
 しかし、沈黙を破ったわたしの言葉は、自分でも信じられない内容だった。

以下略



45: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:28:48.84 ID:UDVM4aPw0

「なんじゃそりゃ」ジェノサイダーは吹き出した。「何の解決にもなってないじゃん」

「そうですよね、すいません」わたしは、消え入るような声で謝った。笑っているからいいものの、あまり適当なことを言うものではない。特に目の前の相手には。

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46: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:30:00.12 ID:UDVM4aPw0

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 目を開けるといつもより天井が遠くにあり、床で寝たことを思い出す。
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47: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:30:52.01 ID:UDVM4aPw0

 身体を起こし、部屋を見回す。
 ジェノサイダーが居なかった。
 干してあったセーラー服もない。
 ベッドの上には意外にも綺麗に畳まれた、わたしがジェノサイダーに貸したパジャマがあった。その上にメモが一枚置いてある。わたしが部屋に置いているメモ帳の一片だ。「寝相悪過ぎ」と、乱雑な字で小言だけが書かれていた。丸めて捨ててやろうかと思ったが、裏面にも何か書かれていることに気づいた。「雨は止んでない。せいぜいお気をつけて」と書かれていた。
以下略



48: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:34:37.58 ID:UDVM4aPw0

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 ジェノサイダーとの邂逅から、三日が経った。
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49: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:37:17.62 ID:UDVM4aPw0

「落ち着いてるよ」内心ぎくりとしながら、わたしは空とぼけた。「全然、普通だけど」

「評価ってのは、他人がするものだよ」友人は冷たく言い放った。「こまる、そわそわしてるでしょ。特別な日を前にしてるみたいな」

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50: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:38:33.53 ID:UDVM4aPw0

「ハレの日は、皆が狂騒に身を任せる時間。その時だけ許される狂気をケの日に持ち込む者はタブレビト……狂人」

「タブレビト……」

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51: ◆N7YbsBIT3ELs[saga]
2014/09/01(月) 22:39:40.21 ID:UDVM4aPw0

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 あれだけのことがあっても、わたしは警察に駆け込むという行動をとっていなかった。
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