過去ログ - 和「フランスより」咲「愛をこめて」
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17: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:44:58.31 ID:IfVJEPyJ0
咲「先日予約したサキ・ミヤナガです。シングルルームをお願いしていると思うのですが……」
咲の言葉に女性は何も返さなかった。黙ったままパソコンを弄りはじめる。
しばらくして咲の予約を見つけたらしい。
18: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:47:29.54 ID:IfVJEPyJ0
咲「う……っ」
やっとたどり着いた515室、ドアを開けた途端襲ってきたのは何とも言えない臭気だった。
カビ臭いのとホコリ臭いのが、入り混じったような感じだ。
19: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:50:06.81 ID:IfVJEPyJ0
仕事柄色んなところに安い経費で飛ばされてきた。
国内であれば、場末のホテルになど何度もお世話になっている。
それでもここまでひどいのは見たことがなかった。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/09/16(火) 00:50:49.40 ID:xOBWdz/uO
咲さんたくましいなw
21: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:53:25.68 ID:IfVJEPyJ0
咲「なんとか、たどり着けたよ……」
長い階段を登りきり、咲は深く息を吐いた。
22: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:56:29.83 ID:IfVJEPyJ0
お目当てのカフェは、駅から少し離れた路地の奥にあるとのことだった。
咲の好きな作家のお気に入りで、彼のエッセイによく出てくる店である。
地元の人にも人気らしくテレビ番組にもしばしば映っていた。
23: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 00:58:53.68 ID:IfVJEPyJ0
困ったことに外に店員の姿は見当たらなかった。
テラスの客は少し咲に目をやったあとは、それぞれのおしゃべりや読書に戻ってしまっている。
やむを得ずに咲は覚悟を決めて店の中へと首を突っ込んだ。
24: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 01:01:18.93 ID:IfVJEPyJ0
店員「観光のお客さん?」
咲「あ、はい。今朝日本から着いたばかりで……」
店員「悪いけど、今日は満席なんだ」
25: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 01:03:55.98 ID:IfVJEPyJ0
店員「君が探しているような『パリらしい』カフェなら大通りに沢山あったろう?地元民には地元民の、観光客には観光客のための店がある」
店員「それが、パリという街だ」
咲「そんな……」
26: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 01:06:28.10 ID:IfVJEPyJ0
女性の名前はエマといった。
どうやら日本に興味があるらしく、日本語は独学で覚えたそうだ。
もっとも、なんなく意思疎通するにはレベルが足りないらしい。
27: ◆CU9nDGdStM[saga]
2014/09/16(火) 01:10:24.15 ID:IfVJEPyJ0
多少面食らうところはあったが、エマは非常に面白い人物だった。
彼女自身もこのあたりに越してきて地元民としては日が浅いらしく、
色々困ったことなどを面白おかしく聞かせてくれる。
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