過去ログ - 葛葉ライドウ対地獄少女
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1:山梨最高</b> ◇31XYrFalkuo5<b>
2014/09/27(土) 20:57:16.94 ID:4btJ32Bz0
人の世は縁と申します。 結んだ糸が絡み付き、もろく哀れな彼岸花。 怒り、悲しみ、涙に暮れて、午前零時の帳の向こう、晴らせぬ恨み、晴らします。

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2:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5
2014/09/27(土) 20:58:11.71 ID:4btJ32Bz0
帝都東京、筑土町の一角には銀楼閣という今風のビルヂングが建っている。
そのビルヂング内には、英国製の背広を着こなす鳴海という伊達男が開いている鳴海探偵事務所がある。
その事務所で、朝食の珈琲のために湯を沸かしながら帝都新報を眺めている鳴海の目が、一点に止まった。何かの記事に興味を引かれた訳ではない。紙面の奇妙な空白に目を引かれたのだ。鳴海がこの奇妙な空白に気付いたのは丁度一週間前、尋ね人欄を流し読みしている時だった。その時は紙面の都合かと思い気にも留めなかったが、今日再び尋ね人欄に奇妙な空白を見て気が付いた事がある。先週の空白と大体同じ大きさなのである。湯が沸くまでには多少の時間がある。そこらに山積みの紙束から先週の帝都新報を引っ張りだし広げると、そこには記憶のとおりの空白が見つかった。
見比べると大きさが大体同じどころではない。ピタリと同じであった。興味を強く引かれ、その先週さらに前の週と帝都新報を調べたが五週連続全く同じ空白が見つかった。それより前の帝都新報は処分済で確認はできなかった。空白の謎に思いを馳せながら珈琲を煎れ、トーストを焼きバターを塗っていると、いつも通りの学生服に外套を羽織った部下、葛葉ライドウが、黒猫と共に姿をみせた。同時に、探偵に相応しい洞察力で机の上に並んだ新聞紙に気が付いたようで視線がそれらに注がれている。
鳴海「おはよう、ライドウ。この帝都新聞の束はね、ちょっと気になることがあってね確認していたんだ。とはいっても記事が気になったんじゃない。見てくれここに奇妙な空白があるだろ?少なくとも五週連続で全く同じ空白が……ってゴウトちゃん。どうしたの?ちょっとやめて……」
以下略



3:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5
2014/09/27(土) 21:02:25.23 ID:4btJ32Bz0
第一章 地獄通信


ゴウト「ヌヌ、この空白、鳴海に言われるまでは気が付かなかったが、注意深く見れば得体の知れぬ妖気を感じる」
黒猫が喋り出すが慌てるものは居ない。ライドウにとっては当然のことだし、鳴海にはゴウトの言葉は届かない。
以下略



4:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5
2014/09/27(土) 21:03:46.98 ID:4btJ32Bz0
鳴海「染みにならないコツは早いうちに染み抜きをすることなんだ。運食い虫の事件の時も染みが残らず綺麗になったろ。……で、ライドウ。その紙面の空白、お前も気になるのか。それもその表情から察するに探偵として、じゃなくて悪魔召喚師として」
トントンとズボンの染みを抜きながらの鳴海の問い掛けに、帝都新報を見つめていたライドウは小さく、しかし確かに頷いた。
鳴海「だったら、調べてみるか。今は仕事もないしな。俺はタヱちゃんに当たってみるよ。彼女、帝都新報の記者だからな。何か知ってるかもしれない。ライドウは悪魔召喚師のツテを当たってみてくれ。あそこなら情報が集まるんじゃないか? わかるよな銀座の北にある……」
鳴海のいう「あそこ」とはミルクホールのことだろう。ライドウは深く頷き、ゴウトと共に探偵事務所をあとにした。


5:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 21:04:34.45 ID:4btJ32Bz0
新世界 ミルクホール そこは多くの悪魔召喚師が集う場所。当然情報交換にも向いている。
マスター「葛葉様の仰るようなお話を以前他の悪魔召喚師から聞いた覚えがあります。ちょうどいま当店に来ておりますので話を聞いてみては如何でしょうか。そこの喪服のお客様です」
マスターの視線の先には、喪服を着た女がちびりちびりとカクテルを飲んでいた。マスターの声が聞こえたのか、首だけがこちらに向く。ライドウは新聞の空白の放つ謎の妖気について喪服の女に尋ねた。
喪服の女「え、新聞の空白の妖気? 確かに以前調べたことがあったわよ。帝都新報だけじゃなくて、他の新聞にも時々載るのよ。何らかの呪術に関連がありそうってことと地獄通信という単語がわかっただけで、詳しいことは結局わからずじまい。仲間の一人は死んでしまったし、依頼人が急に行方不明になっちゃって、調査を打ち切ったの。私が知ってるのはこのくらいよ。まあ、あなたの言う空白が私の知っている地獄通信かどうかは知らないけどね。必要なら同じ件に関わってた他の悪魔召喚師にも聞いてみましょうか。魔石20個でいいわよ」
ライドウが魔石差し出すと、着物の女はミルクホール内に設置された自動電話で電話を始めた。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/09/27(土) 21:05:21.26 ID:8jDKcRnyo
読みづらいから改行しよう


7:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 21:05:46.00 ID:4btJ32Bz0
ライドウは探偵事務所に戻ってきた。鳴海はまだズボンをトントンしている。
鳴海「あ、お帰りライドウ。タヱちゃんに電話したら丁度ウチに用事があったみたいでこれから来るみたいなんだ。そろそろ来ると思うから一緒に話を聞いてくれよ。そっちの報告はそれからでいいや」
ライドウは黙って頷くと珈琲の準備を始めた。


8:山梨最高 ◆31XYrFalkuo5[sage]
2014/09/27(土) 21:16:38.41 ID:4btJ32Bz0
珈琲を入れる準備が整った頃、探偵事務所の扉が開き、カメラを首からぶら下げた短髪の、モダンガールと呼ぶにふさわしい女性があらわれる。
朝倉タヱ、朝倉葵鳥を自称する帝都新報所属の女性新聞記者である。
タヱ「こんにちは、ライドウ君、ついでに鳴海さん、悪いけど珈琲もらえるかししら。二つお願いね」
鳴海「あのねぇ、タヱちゃん、所長は俺。ついでにさっき電話したのも俺。
ライドウは助手、そしてここは鳴海探偵事務所。俺がついで扱いなのもおかしいし、ここはカフェーでもないの。
以下略



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