878: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:35:10.76 ID:g/PD0yL+o
「そもそも、“円環の理”を真に理解している者がいない。それは、この一年で少し調べてみただけでも分かった。
まぁ、『管理者』の末裔達はどうかは分からなかったけど、仮に知っていたところで、この大陸にはもう、白玉石がないんだ」
879: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:35:36.18 ID:g/PD0yL+o
あの日、私達を騙して“生け贄のヤギ”を引き受けたときのような、悲しい笑みもない。嘘を言わなきゃいけない理由も思い当たらないし、疑うような部分もない。
もし嘘だとしても私達にそれを確かめる方法はないけれど…でも、私は勇者様の言葉を信じられると、そう思った。
880: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:36:12.12 ID:g/PD0yL+o
勇者様は、それから議会本部の三階にある居住区画の一番奥の部屋へと連れて行かれた。
881: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:36:59.76 ID:g/PD0yL+o
そこには、ソファーに腰掛け、自分で淹れたらしいお茶をすすっているお姉さんの姿があった。
さっきの荒ぶる姿はどこへやらで、一見して気持ちが落ち着いているのが分かる。
882: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:37:29.74 ID:g/PD0yL+o
「あの、触っていい?」
「ん?あぁ、もちろん」
883: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:38:16.97 ID:g/PD0yL+o
竜族将さんは、あの戦いのあとしばらくの間は西大陸全土からの物資輸送を行ってくれていた。
半年ほどしてこの辺りの情勢が落ち着いた頃には、この中央都市へ大勢の兵隊さん達を引き連れて戻って来てくれた。
884: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:39:16.70 ID:g/PD0yL+o
「でも…お姉ちゃん…」
「大丈夫だって。休んでもらったあとはバリバリ手伝ってもらうからな。今のうちに今日のうちに疲れを取っておいてくれないと困る」
885: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:39:59.72 ID:g/PD0yL+o
「またなんかあったみたいだな、あれ…」
「うん…お、お手伝いしようよ。ね?」
886: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:40:52.41 ID:g/PD0yL+o
兵長さんは顔をあげて頷き、大尉さんも両頬をパシンと叩いて気持ちを切り替える。
「あいつ、今度は鉄の足枷付けてやる…!」
887: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/11/23(月) 22:41:48.05 ID:g/PD0yL+o
身を隠したい人があんな大勢が見ている場所へ落ち立つなんてするだろうか…?
それよりも、むしろ勇者様なら…私は、窓辺から身を乗り出したままに、空を見上げた。
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