過去ログ - 向井拓海「The Passion――判定は許さない」
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37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/10/06(月) 19:28:26.47 ID:hGctJzQM0
 書類を持つ手をはたかれ、頭ごなしに叱り付けられた方がどれだけましだったか。
何時もみたいに親父にはアタシを怒鳴りつけて欲しかった。それならばアタシは納得できたってのによ。
どんなに理不尽であろうとも納得は全てに優先する。アタシはしてはいけない事をしたはずだった。

 それでもあの時親父はアタシを叱らず、自分の仕事をアタシへ知らせるべきではないって判断したのさ。
アタシの知る限り親父は何時だって正しくて、何も間違った事はしちゃいなかった。
そうしなければならない理由があったのだろう。親父があの日アタシを愛する事を止めたのは。

 竜が空を飛ぶのは空を飛ばねばならないから。竜が火を吐くのは火を吐かねばならないから。
ガキの時分に誰かが教えてくれた御伽噺だ。なんだってそんな当たり前の事をって尋ねた憶えがある。顔の見えない誰かが答えた。
竜は昔鯉だったのだと。鯉は竜にならねばならぬから、血反吐を吐きながらも鯉である事をやめ、滝を登り竜となったのだと。




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