過去ログ - 老紳士「あなたの『理想』、叶えましょう」
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1:</b> ◇BEcuACNawuaE<b>[saga]
2014/11/03(月) 22:53:08.62 ID:IW/ehawQ0

 久しぶりに行った大学は休み時間ということもあって、
多くの学生が敷地内を歩いていた。
俺も大学生である身なので、その場に溶け込むかのように、
人ごみに紛れていく。
しばらくすると、目当ての人物の姿を確認した。

「おーう、××」

俺の姿を見て、名前を呼びながら手を振っているのは、
一歳上の先輩である、○○さんだ。
今は就活中であり、数々の企業に足を運んでいるらしい。

「元気かー? 俺もしばらく大学に顔を出せていなかったからな。
 寂しくなかったかー?」


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2: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 22:56:55.89 ID:IW/ehawQ0

陽気な冗談を言いながら、俺の肩に手を置いてくる。
それを「うざったい」と思う気持ちを決して態度には出さず、
俺は先輩に愛想笑いで返した。

以下略



3: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:07:10.22 ID:IW/ehawQ0

○○さんはいわゆる「大手病」というやつで、
業種・職種に関係なく大手と言われるであろう企業の試験を片っ端から受けていた。
その結果、7月になる今でも内定が無い。
しかも、自分が内定を貰えない原因が企業の見る目がないせいだと決めつけて、
以下略



4: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:12:36.22 ID:IW/ehawQ0
「それでな、そいつは商社を狙っていてな。社会人になったら、営業でバリバリ契約を取ってやるって、
 やる気に満ち溢れているんだよ。俺もそいつに共感しちゃってさあ、名刺も交換しちゃったんだ」

名刺か。
俺は一か月前にもらった先輩の名刺のことを思い出す。
以下略



5: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:17:06.22 ID:IW/ehawQ0

「いやあ、こういう風に共感し合える仲間がいるって大切だろうな。
 こういう繋がりが就活では大事だからな。俺なんか体が弱いから、
 せめて精神は健康でいたいもんな」

以下略



6: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:23:55.25 ID:IW/ehawQ0


その日の夜。

俺はもはや日課となっているネットサーフィンを始める。
以下略



7: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:36:40.61 ID:IW/ehawQ0

「あなたは随分と『親切』な方のようですね」


その声に俺は心臓を掴まれたかのように跳ね上がった。
以下略



8: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:49:26.42 ID:IW/ehawQ0

「お探し物はこれですか?」

その声の直後に老紳士を見ると、彼の手には俺の携帯電話が握られていた。
まずい、この家には固定電話はない。
以下略



9: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:52:16.24 ID:IW/ehawQ0


……え?

「私はあなたの『理想』を叶えに来た者です」
以下略



10: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:56:15.31 ID:IW/ehawQ0

何だ今のは!? 手品の類じゃない、蜃気楼のように少しずつ消えていった。
□□は手を動かしていない。何をしたんだ!?

「ご安心ください。あなたの電話はここにあります」
以下略



11: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/03(月) 23:59:14.12 ID:IW/ehawQ0

「『理想』って言ったな。俺の『理想』を叶えると」
「ええ、申し上げました」

このまま反抗してもいいことはなさそうなので、相手のペースに合わせることにした。
以下略



12: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:01:29.44 ID:uva25JCT0

俺の『理想』、それは「痛い」奴らを晒しあげることだ。
晒しあげて助けてやることだ。
いつもやっていることだし、それで間違いないはずだ。
そして、俺の周りから「痛い」奴らを消しされば、俺が迷惑することも無くなる。
以下略



13: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:03:59.03 ID:uva25JCT0

翌日。

昨日のことが夢ではないことは、ネットの掲示板を見たらすぐにわかった。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/11/04(火) 00:04:13.80 ID:UbGF9jtj0
期待


15: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:07:19.47 ID:uva25JCT0


二週間後。

「××……お前どうしたんだ? 生気を失ったみたいだぞ」
以下略



16: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:10:23.85 ID:uva25JCT0

△△株式会社、聞いたことはある。
でも、その会社は――

「……先輩、喜んでいていいんですか?」
以下略



17: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:12:51.04 ID:uva25JCT0

「お前はさ、なんというか何もしないことで自分の格を保とうとしていないか?
 何もしなければ恥をかくこともない、失敗することもない。そう考えているだろ?
 そして、自分の周りで失敗したやつらを『痛い』って晒しあげることで、
 何も築き上げていない自分をごまかそうとしていないか?」
以下略



18: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:19:54.67 ID:uva25JCT0


その日の夜。

「クソが、クソが、クソが!」
以下略



19: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:25:19.04 ID:uva25JCT0

「□□! ○○は、あいつはまだ『痛い』やつだぞ!」
「おや、あなたの基準ではあの方はもう、そうではないように思えますが?」
「うるさい! とにかく、とにかくあいつを……」
「ああ、まだ『痛い』人は残っていましたね」
以下略



20: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:28:06.88 ID:uva25JCT0



気が付くと、俺は右手を上げた□□の前に座り込んでいた。

以下略



21: ◆BEcuACNawuaE[saga]
2014/11/04(火) 00:30:01.86 ID:uva25JCT0

「わかっていた……」

俺は□□の前で泣き崩れた。

以下略



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