過去ログ - 後輩「先輩、やっぱりここにいたんですね」
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67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:35:31.08 ID:XyWoQDJY0
訂正
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後輩「文字が読めなくても、写真があったので、当時の私でも大まかにはわかりました。だから、脚立を足場にしながら頑張って料理をしてみたんです。
   結局失敗しちゃいましたけどね」

以下略



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:36:47.81 ID:XyWoQDJY0
後輩「食材を全部ダメにしちゃってから、お母さんがお家に戻って来たのは一週間後でした。
   それまでは、焦げなかった部分や、使わなかった野菜の切れ端をウサギさんが如く、むしゃむしゃと」

 小学生になる前の味覚など、男はもう思い出せない。

以下略



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:40:11.02 ID:XyWoQDJY0
後輩「次の週から、一度で全部使わずに少しずつ試すようにしました。ほとんど失敗でしたけどね。
   でも、二週目の途中、料理を作っているテレビの番組の事を知りました」

 それからはちょっとずつ食べられる物が作れるようになったんですよ、と後輩は言った。

以下略



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:42:45.11 ID:XyWoQDJY0
後輩「……料理はですね、私の最初の先生なんです。テレビの料理番組で文字や数字を覚えたんですよ」

 口からこぼれたかのように、後輩は呟いた。

 彼女にとっての救いが、皮肉な事に強要させられた料理。
以下略



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:47:32.45 ID:XyWoQDJY0
後輩「最初にネタバレしちゃいましたけど、十歳まではそんな生活でした。最後の方は美味しいご飯が作れるようになりましたけどね。
   で、私が生まれる前に死んじゃったお父さんの両親である、おじいちゃんとおばあちゃんに引き取られて、私はここにいます」

 以上です、と言って後輩は話を終わらせた。

以下略



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:48:52.81 ID:XyWoQDJY0
男「……話が終わったのなら、帰ってくれ」

 声を絞り出した。

 もう僕を苦しめないでくれ、そう望みながら。
以下略



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:50:59.36 ID:XyWoQDJY0
後輩「お婆ちゃんに最低限必要な事を教えて貰ってから、私は初めて学校に行きました。そして気付きました。
   私がどれだけつまらない生活を送っていたかを。知ってから、急に怖くなったんです。あのままだったらどうなっていたんだろう、って」

男「……黙れ」

以下略



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:52:44.02 ID:XyWoQDJY0
後輩「……わかりました。でも、私は明日からもあの図書館に行きますからね。覚悟してて下さいよ」

 後輩が廊下に出てドアを閉めた後から、男の部屋は静寂に包まれた。

 少しして、すん、と小さく男の鼻が鳴る。
以下略



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:56:35.66 ID:XyWoQDJY0
翌日


司書「おや? まだ正午だと言うのに、どうして君はここにいるのかな?」

以下略



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/11/10(月) 00:57:56.87 ID:XyWoQDJY0
男「しかも性質が悪い事に、あの子、全校生徒の中でもかなりの人気者らしいんですよ」

司書「可愛いからね、あの子」

男「チャラいやつらにここの事をしつこく聞かれたので、避難しに来たんです。半日くらいサボっても、僕は痛くも痒くもありませんし」
以下略



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