2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:32:39.12 ID:uChPgUVpO
ヴァイマル共和国国防軍一将校による投稿
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寒い晩だった。
若い将校だった私は、同じく若い同僚たちと一緒に将校用のクラブでかしましい「天使」たちの声に顔をしかめながら静かに酒を飲んでいた。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:34:25.25 ID:uChPgUVpO
今世紀初頭の者たちに「十数年後に人間でない敵が襲ってくる」と言って信じただろうか?恐らく「この国際情勢が危ういときに何を言っているんだ」というような事を言って取り合ってくれないだろう。
だが奴等は来た。そして「天使」たちは奴等に対抗できるそのとき最良の手段だった!
先の世界各国対宇宙人の戦争、彼女たちは戦争の途中某国によって動員され始め、それはすぐに世界各国に広まった。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:35:45.85 ID:uChPgUVpO
ここまでであれば我々が苦い顔をする理由はない。しかし彼女たちの人気や信頼感が上昇するに従って割りを食ったのは我らだった。
いわく、「軍は何をしていたのか(勿論天使たちは軍に属していたのだが)」「乙女たちが戦っている間兵士どもは惰眠を貪っていた」「天使こそ優等人種であり、彼女たちが国家の軍事力を管理すべきである」等である。
男たちは戦場で命を散らしていたため、女たちを工場に引きずり出す必要があった政府は、彼女たちを引き合いに出して盛んに「強い文明化された男顔負けの女性」という宣伝を打ち立てた。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:36:17.76 ID:uChPgUVpO
話を戻そう。指揮系統を盾にした彼女たちは我々の命令に従わないことがままあった。
彼女たち天使はAL入隊後から既に士官球の待遇を受けるが、相手が一般将兵であればたとえ相手が佐官級でも命令に従わない事すらあった。
政府上層部が、人民が許容していたのだ。
彼女たちの年齢は十代そこそこから二十代中盤。我々将校にとって年下で階級も下の彼女たちが命令を聞かず、またそれに対する何の処罰もないのは耐え難い屈辱だった。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:39:24.70 ID:uChPgUVpO
「ねえ、そこのおじさん」
私は内心神に祈った。天使のひとりが誰かに声を掛けたのだ。緊張が走る。
天使たちは酷く気紛れで、酷く力が強く、態度も大きい。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:41:00.31 ID:uChPgUVpO
「は?私たちのせいってわけ?」
「翼もないくせに」
「大体あんたの部下が臆病者揃いで、あんた自身も無能だから全滅したんじゃない?」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:43:36.22 ID:uChPgUVpO
初老の少佐は怒りに震える手で軍帽をひっつかみ、荒々しい足取りでクラブの出口に向かう。背後から更に罵詈雑言が浴びせられる。
「逃げるの?臆病者!」
「まるであんたの部下みたい!」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:44:08.86 ID:uChPgUVpO
「よう、みんなここにいたのか」
クラブの入り口の扉が開く。
「遅いよー司令官」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:45:52.14 ID:uChPgUVpO
「司令官」は会釈も返さず冷たく一瞥すると天使たちに向き直り、笑顔で続ける。
「さ、みんな基地に帰るぞ」
「はーい!」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/14(金) 00:47:00.09 ID:uChPgUVpO
緊張の糸が切れ、ビールを一杯あおったあと同僚のひとりがぽつりとつぶやいた。
「なんだ、あいつは」
それを聞いて別の同僚が返す。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/11/16(日) 17:43:48.25 ID:bElL2QwXo
しえん
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