過去ログ - 佐久間まゆ「まがいもの」
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:54:23.03 ID:DL0z8tZuo
 控えめに、ドアを三回叩いた。
 待てど暮らせど――と言うほど時間が経ったわけではないけれど、
 内からドアが開く気配はなかった。もう一度ノックをする。

 静かなドアの前、深い溜息が反響した。
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:55:12.36 ID:DL0z8tZuo
「新人の子かな」

「いや、俺ぁ知りません」

 顔を見合わせる二人へ礼をして、私はポケットから名刺を取り出した。
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:55:40.17 ID:DL0z8tZuo
「でも、私が会った人と……」

「その会ったって人の名前は知ってる?」

 もちろんと言いかけて、彼の名前を知らないことに初めて気が付いた。
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:56:13.13 ID:DL0z8tZuo
 マドギワと呼ばれた彼は二人へ私を簡単に紹介したあと、向き直って尋ねた。

「どうしたの、佐久間さん」

「私、アイドルになりたいんです」
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:56:46.34 ID:DL0z8tZuo
「まあ、いいや。なにか、食べたいものはある?」

「えと、ファミレスとか」

「ハンバーグか」
以下略



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:57:24.74 ID:DL0z8tZuo
 彼と入ったファミレスは昼時ということもあって混んでいた。
 待たされている間、空腹が意識の縁までぷかりと浮かんできた。
 気まずくないくらいの沈黙の時間が過ぎ、それから二人がけの席に案内された。

 私はハンバーグを、彼はたらこスパを注文した。
以下略



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:58:00.58 ID:DL0z8tZuo
「知ってたんですか」

「あ、いや……彼女に聞いたんだ」

「あの、ハンチング帽の……」
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:58:37.87 ID:DL0z8tZuo
 聞くと、彼は他のプロデューサーと違って、非常勤講師のような役割を受け持っているらしい。
 先日の工藤さんの仕事は、担当の予定が合わないため彼が代打で付いた。
 そうしたピンチヒッター以外ではもっぱら事務仕事や裏方のさらに裏方仕事をこなしている。

「肩書はプロデューサーだけど、実際はやることの多い雑用係みたいな感じ」
以下略



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 06:59:22.46 ID:DL0z8tZuo
「さて、アイドルやろうってなると、読者モデルの方は辞めることになるけど……」

「もう、辞めました」

 フォークを繰る彼の手が、一瞬止まる。
以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:00:36.73 ID:DL0z8tZuo
「……貴方にプロデュースしてもらいたかった」

「僕に?」
 彼は丸めたスパゲッティを口に運び、なにを言うべきか迷うように咀嚼し、飲み込んだ。

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