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2014/12/20(土) 07:09:09.96 ID:DL0z8tZuo
携帯電話も買い換え、アドレス帳にはプロデューサーさんと母の名前しか登録されていない。
以前のアドレス帳に何件登録されていたかは覚えていないが、これよりは多かったはずだ。
だからと言って、電話やメールがしょっちゅう来たわけでもないのだけれど。
越してきてからというもの、私の携帯電話はもっぱらキッチンタイマー代わりに使われる。
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2014/12/20(土) 07:10:15.43 ID:DL0z8tZuo
家事の合間に編み物。それとも、編み物の合間に家事。
マフラーが出来上がったら、早速首へ巻いて買い物へでも行こうかと目論んでいたのだけれど
――その不細工な形にため息をついた。
これなら、いも虫の方がよっぽどうまく糸を編む。
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2014/12/20(土) 07:11:58.77 ID:DL0z8tZuo
携帯電話の画面には文句のように『不在着信が二件』と表示されている。
二件とも、知らない番号からの着信だった。母からでないことに、少しほっとする。
着信のあった時刻は三十分ほど前で、
プロデューサーさんだったら「こんな夜更けに」と申し訳なさそうに言ったのだろうか。
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2014/12/20(土) 07:13:23.20 ID:DL0z8tZuo
「あのね、えーと、佐久間さん」
「まゆで、いいです」
「ありがと! そう、えーっとね……まゆちゃん、明日暇?」
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2014/12/20(土) 07:14:34.53 ID:DL0z8tZuo
「鍋がしたいって話したら、コンロとか鍋とか用意してくれるって言うから……」
「それじゃあ、プロデューサーさんの家で?」
「って思ったんだけど、それはまずいからってアタシの部屋に持ってくるってさ」
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2014/12/20(土) 07:15:06.60 ID:DL0z8tZuo
翌朝、十時を十分ほど過ぎた頃に、インターホンが部屋に響いた。
ドアを開けると冷たい風が部屋に走る。
「あけましておめでとう」
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2014/12/20(土) 07:16:11.67 ID:DL0z8tZuo
「寒そうなので」
「賢い選択だ」
彼は寒がりなのか、風が吹く度首をすくめた。
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2014/12/20(土) 07:16:38.33 ID:DL0z8tZuo
「佐久間さんは賢いなぁ。僕もマフラーを買っておけばよかった」
「あ……これ、自分で編んだんです」
「本当? そりゃすごい」
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2014/12/20(土) 07:17:18.97 ID:DL0z8tZuo
――――
「工藤さんがうちに来たことを思い出したよ」
しらたきを鍋から掬いつつ、プロデューサーさんは懐かしそうに言った。
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2014/12/20(土) 07:17:59.78 ID:DL0z8tZuo
「工藤さんのときは大変だったね」
「半年も経ったんだから、いいかげん忘れてよ……」
「佐久間さん、聞きたい?」
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2014/12/20(土) 07:18:35.18 ID:DL0z8tZuo
「実家が遠いから、とかなんとか言い訳してたよね」
「と、遠いのは事実だから」
「まあ、そうだけど」
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