51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:21:42.74 ID:DL0z8tZuo
「アタシ、最初はびっくりしちゃった。まゆちゃんがアイドルだなんて」
「自分でもあんまり実感ないです」
「アタシにとってまゆちゃんは有名人だから」
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2014/12/20(土) 07:22:47.16 ID:DL0z8tZuo
「じゃあ、これから忍ちゃんって呼びますね」
「えへへ。アタシ、早生まれだからまだ一個下だけど」
「誕生日、いつ?」
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2014/12/20(土) 07:23:40.13 ID:DL0z8tZuo
――――
二月を目前に迎えると新しい生活リズムに身体が慣れて、やっと余裕ができた。
学校生活やレッスンは相変わらずだけれど、仕事がポツポツと入り始めた。
ティーン雑誌でのモデルが初仕事で、続くいくつかの仕事も写真撮影だった。
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2014/12/20(土) 07:24:35.63 ID:DL0z8tZuo
給料を貰ったその日に、家電量販店へ寄って小さなセットコンポを買って帰った。
夕食のあと早速、母から借りっぱなしのミュージックプレイヤーを繋いだ。
ハスキーな歌声にリズムを取りつつ赤い毛糸を編み棒に絡めると、
なんとも言えず幸せだった。
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2014/12/20(土) 07:25:41.42 ID:DL0z8tZuo
「そっかぁ、マフラーね」
センターテーブルの向かいで頬杖をつく忍ちゃんは、ノートに何重も丸を書いた。
「忍ちゃん、一緒に作る?」
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2014/12/20(土) 07:26:31.73 ID:DL0z8tZuo
「まゆちゃんはどんな音楽聴くの?」
「あんまりよく知らないんだけど、ポリスってバンド、よく聴いてる……」
「ね、ちょっと聴かせて」
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2014/12/20(土) 07:27:20.39 ID:DL0z8tZuo
「忍ちゃんはあんまり?」
「そういうわけじゃないけど、アタシはクイーンが好きで……」
入ってるかな、と私はプレイヤーのミュージシャンの欄を探った。
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2014/12/20(土) 07:28:03.86 ID:DL0z8tZuo
「不思議な曲だね」
思ったままを言うと、忍ちゃんは少し照れくさそうに頭をかいた。
「青森に居るときラジオで聴いて惚れ込んだんだけど、誰のなんて曲か聞き逃して」
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2014/12/20(土) 07:28:35.60 ID:DL0z8tZuo
――――
事務所から出るとすでに陽は沈んでいて、街灯とアスファルトに残った雪だけが白く浮かんでいる。
空に雲の濁りはなく、だけれど星も見えず、水槽の底を歩いているような気分にさせられる。
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2014/12/20(土) 07:29:11.34 ID:DL0z8tZuo
「私もチョコは溶かして固めただけだよ」
「まあ、そうかもしれないけど」
「それに、忍ちゃんはみんなにあげていたし」
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