過去ログ - 佐久間まゆ「まがいもの」
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90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:49:59.60 ID:DL0z8tZuo
「迷ってはいたけど、確かに、今くらいの時期に辞めるつもりだった」

「……私が無理を言ったから、残ったんですか」

 そう言うと、彼は予想に反してからからと笑った。
以下略



91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:50:31.69 ID:DL0z8tZuo
「同僚とも多少揉めたけど今も仲良くしてくれるし」

「揉めたんですか」

「まあ、便利な役割だったからね」
以下略



92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:50:58.83 ID:DL0z8tZuo
「……私、プロデューサーさんの期待に応えられてますか?」

「さっきも言ったように、スカウトしてよかったと思ってる」

 君は、と彼は続けた。
以下略



93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:51:28.43 ID:DL0z8tZuo
「これって、運命ですよね……」

 私は左手の時計を右手でそっと覆った。すべての謎が解けたような気がした。
 嘘の強がりも、なにかに怯えたことも、彼が意味を作っていた。

以下略



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:52:00.65 ID:DL0z8tZuo
 ――――

 朝、制服を着て、革靴を履いて、それからやっと春休みの終わったことに気がついた。

 夢の中にも時間は在るのかしら。
以下略



95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:52:27.11 ID:DL0z8tZuo
「あっ、おはよーまゆちゃん!」

「おはよう、忍ちゃん」

「クラス分け、見た?」
以下略



96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:53:03.07 ID:DL0z8tZuo
 体育館で簡単に始業式をしたあと、平常通りに授業が行われた。

 四時間目の授業が終わると、忍ちゃんはいそいそと私の机の向かいへ椅子を持ってきた。

「授業日数の確保とは言うけどさ、なんか雰囲気ないよね」
以下略



97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:53:30.00 ID:DL0z8tZuo
「まゆちゃんは今日、放課後レッスンあるの?」

「今日はナシ。プロデューサーさん、引っ越しがあるからって……」

「引っ越し? そっか、引っ越すんだ」
以下略



98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:53:59.74 ID:DL0z8tZuo
「やめときなよ」

「……どうして?」

「どうしても」
以下略



99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:54:43.48 ID:DL0z8tZuo
 きっと、忍ちゃんはプロデューサーさんのことが好きなんだ。

 ぼきりとシャープペンの芯が折れて、ノートに黒いしぶきを飛ばした。
 吹くと、さらさらと形を変えながら、黒い煙は消えて行った。

以下略



100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:55:12.88 ID:DL0z8tZuo
 背中に冷たい感覚が伝う。二人に出し抜かれたような、気がした。
 二人して、私を笑っているのかしら。顔がかあっと熱くなる。

 忍ちゃんの方へ目を向けると、偶然か、彼女も私の方を見ていた。
 はっと、目を伏せる。目を伏せた先に左手の時計が静かに秒針を回していた。
以下略



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