1: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:21:55.80 ID:HSj1W9VK0
CALL.01 赤いテレフォンカード
「くそっ、何で俺がこんな目に!? あーもうちくしょー、不幸だーーーーっ!!!!」
変態じみた叫び声だと自覚しつつも、上条当麻は凄まじい逃げ足を止めようとしない。
時刻は既に深夜を回って完全に暗がりとなった路地裏を走り抜けながら、上条は思わずチラリと背後を振り返る。
十人。
かれこれ2kmは走り続けているのにまだ十人。
見る者全てが不良だと断言するような恰好をした男達が上条に罵声を浴びせながら追いかけてきていた。
無論、少々喧嘩慣れをしてることを除けば普通の高校生に過ぎない上条にはこの人数を相手にしても勝ち目がない。
そもそも高校生同士の喧嘩なんて二人以上数が離れれば話にすらならないだろう。
よって上条に残された選択肢は彼らが諦めてくれるまで逃げ続けるしかなかった。
道に放り出されたポリバケツに躓きながらも、上条は足を止めることなく走り続ける。
もし捕まってしまえば、待っているのはサンドバッグの刑だ。
そしてどうしてこんな事態になっているのか、上条は先ほどまでの出来事を思い返す。
こうなった原因があるとすれば、やはり不幸という言葉しか思い当たらない。
補習が終わった後のヘトヘトになった帰り道、偶には奮発しようとファミレスに入ったのが運の尽きだった。
明らかに酔っぱらった不良に囲まれる中学生くらいの女の子。
放っておけばいいものの、思わず助けてやっかーという常軌を逸した思考回路が働いてしまったのだ。
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2: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:22:49.60 ID:HSj1W9VK0
……まさかトイレからゾロゾロとお仲間が出てくるとは。
トイレに集団で行くのは女の子の特権だと思っていた上条の偏見が見事にぶち殺された瞬間だった。
「結局頼んでた料理が来る前に飛び出しちまったと思ったら、挙句にまだ食ってもないのに食い逃げ扱いされてるし。 何なんですか、この不幸はっ!?」
3: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:23:49.66 ID:HSj1W9VK0
「おるぁっ! ちくしょう、この糞ガキ! 止まれや、この逃げ足大王がっ!!」
何でこんなことに青春を懸けなければならないのか?
周りはカップルだらけの中、一人の上条は何だか物凄い惨めな気分になる。
4: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:24:46.98 ID:HSj1W9VK0
「もしかして後ろの連中が追ってくなくなったのも」
「うん、めんどいから私が焼いといた」
5: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:25:54.71 ID:HSj1W9VK0
「結局本命には辿り着けなかったし、ホント時間を無駄にしちゃった」
「本命?」
6: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:26:54.22 ID:HSj1W9VK0
しかしそれでも万が一という可能性はある。
だから上条はわざわざ自分が身体を張って無駄な争いが起きないようピエロに徹したのだ。
その努力も少女自身の手によって水泡に帰してしまったが。
7: ◆IWuyJvzLOZKF[saga]
2014/12/27(土) 07:28:01.36 ID:HSj1W9VK0
「何よ、その顔は? 文句があるならやっぱり相手になってもらいましょうか?」
「いえいえ、滅相もございません!」
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