過去ログ - 奉太郎「守りたいもの」
1- 20
7: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:10:01.88 ID:bTDiL5Hz0

 新刊の期待もほどほどに、平積みされた本の山に視線を通していく。店内にはポップや店員からのおすすめ紹介などがひしめいていて、実に自己主張の強い場となっていた。
 躍る惹句は「春休みの読書感想文にどうぞ! 名作文庫フェア」を筆頭に、学生の長期休暇にちなんだものばかりだ。

 他に目につくのは映画化の紹介や万引き防止を促す張り紙。しかし俺が見たいのはそれではなく、今月の新刊一覧である。
以下略



8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:12:29.01 ID:bTDiL5Hz0

 ふと俺が入ってくるときの出来事を思い出す。これは恐らく、あのどちらかのものだろう。
 中身を見れば持ち主のプロフィールもわかるだろうが、さすがにそれはプライバシーの侵害だ。自宅の電話番号くらい入ってそうなものだが、はてさて。

 店員に渡すのが妥当と判断し、店内へと戻ろうとするが、ちょうど子連れがこちらに向かってくるところだった。母親らしき人物の両隣りに、男の子と女の子。通路一杯の幅を使っている。
以下略



9: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:14:34.60 ID:bTDiL5Hz0

 俺の学校の生徒が襲われたらしい。
 その話を聞いたのは、朝のホームルーム、担任からだ。昨晩、塾から帰る途中のできごとだという。

 名前は出さなかったが、場所がとある河川敷であること、女生徒であること、命に別条はないが鞄が持ち去られたことが伝えられた。次いで注意喚起もされた。
以下略



10: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:15:22.32 ID:bTDiL5Hz0

「怖いな」と、特別棟四階の端、神山高校の辺境、地学準備室で俺の隣に座った里志はそう言った。

 里志は口ではそう言っているものの、表情はにこやかだ。まさか自分が被害者になるわけがないというような。
 それはある種一般的な反応だ。俺だってまさか矛先が自分に向くとは思っていない。
以下略



11: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:16:37.73 ID:bTDiL5Hz0

「どうした、千反田」

 俺は伊原の隣でかちゃかちゃとやっている千反田に声をかけた。

以下略



12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:17:38.02 ID:bTDiL5Hz0
 いや……。そういえば。
 俺はポケットからそれを取り出す。昨日偶然拾ったそれを。

「俺も持ってるんだ」

以下略



13: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:18:41.62 ID:bTDiL5Hz0

「いやいや、いいんだよ。お二人とも、お幸せにね」

「だから、そんなことはなくてですね――折木さんも何か言ってくださいっ」

以下略



14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:19:32.52 ID:bTDiL5Hz0

「千反田さん、ケータイの登録はしたかな?」

 思い出したふうに里志が言う。
 携帯電話の登録? 自転車の防犯登録みたいなやつか?
以下略



15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:20:14.29 ID:bTDiL5Hz0

「あの、福部さん。携帯電話の登録ってなんでしょうか?」

 おずおずと千反田が尋ねる。

以下略



16: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:21:07.34 ID:bTDiL5Hz0

「最近の携帯電話ってのは多機能なんだよ、ネットにつなげたり、カメラもついてる」

「それくらいわかる。バカにするな」

以下略



79Res/66.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice