過去ログ - あやかしの地獄
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2:名無しNIPPER[sage]
2015/01/06(火) 01:12:01.52 ID:SFoESJco0
おっそうだな(R-TYPE)


3: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:12:07.25 ID:RN7L+xaq0
ある日の事です。

妾は、チイちゃんという女の子と一緒にいました。
このチイちゃんというのは、その名前の通り小さく可愛らしい子でして、
背丈は五尺チョットも無いくらいでしょうか。
以下略



4: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:14:56.74 ID:RN7L+xaq0
そんなチイちゃんと妾は、ただボンヤリと軒先に座って道行く人々を眺めていました。
忙しそうに職場か何処かへと向かう青年や、乳飲み児を抱いてゆっくりと歩く女性ナンゾを……。
ただただ、意味も無く眺めていました。

そのうちに太陽が傾き、景色が橙色に染まっていきます。
以下略



5: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:18:24.89 ID:RN7L+xaq0
「ヤァイ、でっかいのヤァイ……」

何処か遠くから、声が聞こえた気がしました。
その声は、チイちゃんの口から発せられているのです。
まるで仄暗い洞窟の奥底から聞こえるような声でした。
以下略



6: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:22:49.76 ID:RN7L+xaq0
「ヤァイ、でっかいのヤァイ」

今度はハッキリと、低い声が響きました。
でっかいの、というのは妾の事なのでしょう。
妾は幼少の頃から背丈が大きく、手足なども気持ちの悪いくらいに長かったものですから。
以下略



7: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:25:12.15 ID:RN7L+xaq0
「ナア、君。小腹が空いたとは思わないかい」

チイちゃんの言葉遣いはなんとも奇妙で、
まるで何処か遠く街中の、綺羅びやかな歌劇団の男役がそこにいるかのようでした。
小さく可愛らしい彼女でしたが、その凛々しい顔立ちと語り口調は怪しい色気を放っていて……。
以下略



8: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:27:20.25 ID:RN7L+xaq0
「私はね、チットモ世間の事なんて知りもしないのだが、世界がアンマリにもまあるいのと、腹が空くとドンナニ辛いのかは、よおく分かっているんだよ」

建物が瑠璃色に変わっていきます。
辺りはスッカリと暗くなり、まるでこの世界には、妾とチイちゃんしかいないようでした。
アンマリにもまあるい世界の上で、チイちゃんは妾に話しかけてくるのです……。


9: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:29:59.64 ID:RN7L+xaq0
「どうだい、君。鼈甲飴……なんて物は、お好きかい?」

「エッ……飴、ですって……?」

「そうだ。私は甘い物に目がなくてね……特に、祭りで売られているヨウな、可愛らしい形の鼈甲飴が大好きなんだ」
以下略



10: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:32:19.78 ID:RN7L+xaq0
「良いです……それは、トッテモ……妾、食べたいですわ。甘くて美味しい、鼈甲飴が……」

「そうかい。じゃあ、行こうか」

「行く?……行くって、一体、何処へ?」
以下略



11: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 01:34:47.40 ID:RN7L+xaq0
「アハハハ……アハアハアハ……そう困った顔をするんじゃないよ。ナニ、祭りなどが無くとも、屋台の一つや二つはあるもんさね」

「ハア……そのようなものなのですか」

「そうさ。気の無い返事をしないでおくれよ。でっかいのはよほど、お遊びには疎いカタブツと見える」
以下略



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