59:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:39:10.06 ID:sdjP5j9j0
「かわいいね、それ」
「だろ。でもこれ、壊れてるんだけどな」
60:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:40:12.95 ID:sdjP5j9j0
霧雨の中、暗い夜道をふたりで帰る。
壊れた傘をさしながら。
ビニール袋越しに見上げた夜空は、半透明に濁って見えた。
61:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:41:13.45 ID:sdjP5j9j0
わたしは傘をたたむと澪ちゃんのそばに寄って、右腕を掴んだ。
「ム、ムギっ…//」
62:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:41:46.17 ID:sdjP5j9j0
寮の近くのコンビニの側まで来たときに、
店を出て行く男性客が傘を差さずそのまま走っていくのを見て、
「雨、やんだみたいだな」
63:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:42:16.58 ID:sdjP5j9j0
「昔もこんなことがなかったっけ?」
閉じた傘を澪ちゃんに手渡して、わたしたちはまた歩き出した。
64:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:42:53.40 ID:sdjP5j9j0
「そういえば、学祭ライブの前日にふたりで夜の学校を歩いたこともあったよな」
「…うん」
65:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:43:20.79 ID:sdjP5j9j0
月も星も浮かんでいない曇り夜空の帰り道を、街灯が明るく照らしている。
でもその光は、さらにこれから先、わたしたちが進む道も照らしてくれるわけじゃない。
光が届かない道を歩かなくちゃいけないときは、もう近くまできている。
66:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:44:41.79 ID:sdjP5j9j0
「澪ちゃんは、将来のこととか考えてる?どんなお仕事したいとか」
「ん。まぁそれなりには」
67:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:45:37.75 ID:sdjP5j9j0
「…ムギは?」
「……え」
68:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:46:31.44 ID:sdjP5j9j0
「やさしいひとよ。お兄ちゃんみたいな人。5つ年上なの。昔はよく遊んでもらったわ。
わたしの知らないこといっぱい知ってる人だった。それと…ピアノがとっても上手な人だったの。
わたし、その人を見てピアノをやろうと思ったの。
……今はヨーロッパで働いてるから何年も会ってないけど」
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