過去ログ - 橘純一「明日から修学旅行だ!」
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126: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:01:44.07 ID:BPoS8XS7o
頭を振って立ち上がり、教室の窓を一枚開ける。冷たい風が吹き込んできて、ほてった
身体に心地良い。
 そのままあたしは吹き流しのように風を受けながら、窓辺でボーっと、外の景色を
眺めていた。目に映るのは、見慣れた町並み、いつもの光景。
 遠くの山々、流れる白い雲、か弱い青を敷き詰めた空。
以下略



127: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:05:19.01 ID:BPoS8XS7o
改行ミスった・・・

>>125>>126の二つ訂正します…


128: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:06:14.79 ID:BPoS8XS7o
 約一週間ぶりの登校、クラス委員の仕事を口実に、あたしはいつもより早く家を出た。
早朝の空気は冷たく、一日ごとに深まりつつある秋と、その向こうにある冬の存在を
肌に感じた。そろそろ、冬物の準備をする必要があるだろう。
 教室には一番乗りだった。人気のないがらんとした部屋に、なぜか安堵感を覚える。
 そこで、気が緩んでしまったのだろう。自席に座りしばし静寂を満喫していると、
以下略



129: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:06:57.63 ID:BPoS8XS7o
 頭を振って立ち上がり、教室の窓を一枚開ける。冷たい風が吹き込んできて、ほてった
身体に心地良い。
 そのままあたしは吹き流しのように風を受けながら、窓辺でボーっと、外の景色を
眺めていた。目に映るのは、見慣れた町並み、いつもの光景。
 遠くの山々、流れる白い雲、か弱い青を敷き詰めた空。
以下略



130: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:07:37.41 ID:BPoS8XS7o
 二・三十分もすると、登校して来たクラスメイトたちの声で、教室内は徐々に騒がしく
なってくる。一言二言の簡素な挨拶だけを交わし、あたしは仕事を続けていた。
 その時だ、橘君がやって来たのは。人の気配に顔を上げると、机をはさんだ所に橘君が、
遠慮がちな様子で立っていた。

以下略



131: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:08:23.45 ID:BPoS8XS7o
 差し出された包みを見て、無論あたしは困惑した。一緒に修学旅行へ行ったクラス
メイトから、修学旅行のお土産を貰うなどとは、考えてもみなかった。一体どういう
思考回路をしていたら、こんな馬鹿げたことを考えつくのだろう? 賄賂のつもり
かしら? 実に不可解だった。
 そんな疑念を悟られたのか、橘君は慌ててこう言い足した。
以下略



132: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:09:28.88 ID:BPoS8XS7o
 包みの中から現れたスノードームは、こぢんまりとしていて中々可愛げがあった。
ガラス製のドーム越しには、クリスマスツリーのミニチュアが鎮座している。
 ……確かに、あたしの気に入りそうなものだ。
 そして、お土産を貰ってこんな気持ちになるのは初めてかもしれないなと、ふと思う。
「嬉しい」と言うか「可笑しい」と言うべきか。
以下略



133: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:10:43.69 ID:BPoS8XS7o
「どうかな、迷惑じゃなければいいんだけど……」

 橘君が訊ねる。

「迷惑だなんて、そんな……。ありがとう橘君。私、とっても嬉しいわ」
以下略



134: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:11:51.53 ID:BPoS8XS7o
 それから、いくつかの他愛無い会話を交わした。修学旅行の思い出、橘君が買っていった
お土産を食べ過ぎて、お腹を壊した妹さんの話。当然仕事は進捗せず、気が付くと予鈴が
鳴っていた。

「この音を聞くのも久しぶりだね」
以下略



135: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:12:44.10 ID:BPoS8XS7o
 橘君から修学旅行のお土産を貰ったのには、こんな顛末があっての事だった。
 あたしの指が、今は自室の机の上に置かれたスノードームをつつく。揺らしてみると、
自分の周りにだけそっと、一足早いホワイトクリスマスがやって来たみたいだった。一抹の
寂しさと同時に、自然と笑みがこぼれてくるのをあたしは感じる。
 ……橘純一、不思議な人だ。
以下略



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