5: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:15:59.20 ID:xhFcsLfTo
Aは天井に掲げた玉から手を離し、自らの口へ放り込んだ。
今撃たれる訳にはいかない。こちらにはまだ希望がある。
目をつむって玉を飲み、一秒、二秒、三秒――――。
6: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:16:42.17 ID:xhFcsLfTo
× B C D E
7: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:17:17.69 ID:xhFcsLfTo
『ハッカを引いたら死ぬ』。ルールは至ってシンプル。
彼らは『サクマドロップス』を用た死のゲームに身を投じていた。
勝てば一千万。
8: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:18:17.38 ID:xhFcsLfTo
五人にはそれぞれ莫大な借金があった。
ギャンブルに溺れた者、愛人に貢ぐだけ貢いで捨てられた者、株で取り返しのつかない失態をおかした者。
その経緯は様々だが、
9: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:19:01.03 ID:xhFcsLfTo
だがそんなある日、彼らに一獲千金のチャンスが転がり込んだ。
「高額の賞金が手に入るゲームあるんだ。どうだ、参加してみないか?」
話を持ちかけたのは黒服にサングラスといかにもな風体の男であったが、
10: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:19:48.48 ID:xhFcsLfTo
ゴトリという固い音を立て、Aの体が床に崩れた。
喉を押さえたまま目を剥き、色の無い目を天井に向けて横たわる姿は
さながら出来の悪い蝋人形である。
11: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:21:40.01 ID:xhFcsLfTo
Bは缶に飛び付いた。銃口から逃れるように。
慌てて振ったせいか、彼の手には二個の玉が転がり込む。
一つ目は白、そして二つ目も――――、白。
12: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:22:36.04 ID:xhFcsLfTo
このゲームのキモは、ハッカとレモンの見分けにあると言って良い。
どちらも一見すると白い玉に見える。しかし『透度が違う』というのは既知の事実である。
ハッカは白く濁っているため光を通さないが、レモンは光を通して透けて見える。
13: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:24:35.70 ID:xhFcsLfTo
Bは手中の二つに目を落とした。
可能性は『レモンとレモン』、『レモンとハッカ』、そして『ハッカとハッカ』。
どちらも『同じ白』であれば『レモンとレモン』か『ハッカとハッカ』であり、助かる可能性はまだ残る。
14: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:25:33.77 ID:xhFcsLfTo
Bは人口五千人にも満たない、小さな漁村で生を受けた。
父は漁師であり、母とは見合い結婚だったらしい。
父は二十八、母は二十六。
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