過去ログ - ロシアンルーレット
1- 20
15: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:26:25.20 ID:xhFcsLfTo
後から聞いた話だが、傍から見れば二人の仲はそれほど悪くはないように見えたらしい。

それもそのはず、「何も起こっていない」のだから。

悪い事はもちろん、そして良い事も。あるのは喜怒哀楽のどれ一つ無い、無味無臭の空気ばかりである。
以下略



16: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:27:03.65 ID:xhFcsLfTo
高校は、父の言いつけで地元の普通科に通う事になった。

中学を卒業したばかりの身では一人でやっていける自信も無く、

表面上は素直にその言葉に従った。
以下略



17: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:27:43.05 ID:xhFcsLfTo
それからは日雇いのバイトで食い繋いだ。

父の貯金は上京前にある程度引き出したものの、頻繁にやっては居場所がばれる。

幸いにも半年ほど働いた工事現場の監督が「何ならうちで働くか?」と言ってくれ、
以下略



18: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:28:20.83 ID:xhFcsLfTo
正社員として働き出して一年。

仕事帰りに「今日は良い所に連れてってやる」と言われたのが人生の分水嶺であった。

監督に連れられて足を運んだのは、いかにも高級そうな風俗店であった。
以下略



19: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:29:14.90 ID:xhFcsLfTo
ボーイに連れられ、小奇麗な待合室に通された。

すぐさまビールが出されたが、Bは手を付ける気になれなかった。

いくら請求されるか知れたものではない。
以下略



20: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:30:02.77 ID:xhFcsLfTo
低頭するボーイの横を通り、店の奥へと導かれる。

そしてその女と出会う。

二階に上がる階段の前、赤いシルクのワンピースに身を包み、彼女はそこに立っていた。
以下略



21: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:30:45.05 ID:xhFcsLfTo
彼女はゆっくりと近付き、細い両腕をBの首へ回した。

すっと顔が近付いたと気付いた時には、呆けて開いた唇にねっとりとした熱いモノが滑り込んでいた。

こじ開けられた口の中で、それは舌全体を撫でまわすようにゆっくり、大きく動きだす。
以下略



22: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:31:30.13 ID:xhFcsLfTo
その後の顛末は記憶に無い。

全てを彼女に委ね、夢と現(うつつ)をさ迷い続けた。

押しかかる彼女の自重すらも、享楽に溺れた体の前には甘美な刺激となって襲いかかる。
以下略



23: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:32:18.46 ID:xhFcsLfTo
Bの給料では月に一度が限度だった。

六万という金額は、正社員になったばかりの身には余りに重い。

捻出するには、食費や光熱費を削らなければならない。
以下略



24: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:33:13.12 ID:xhFcsLfTo
彼女に会う回数は、月を重ねるごとに増えていった。

もちろん給料だけでは足りず、日雇い時代に貯めた貯金は全て使った。

父の貯金も底をついた。
以下略



25: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:34:00.14 ID:xhFcsLfTo
法外な金利は瞬く間に膨れ上がり、最早Bには利子すら返済する力もない。

火の車は早々に車輪が焼け落ちた。

取り立て屋に締め上げられながら「マグロでも獲るか?」と言われたその時、
以下略



68Res/28.87 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice