11:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:01:24.39 ID:j6K9ZfLpO
部下たちを見ると唇を噛んで顔を真赤にしている。
もう慣れているはずだが、いちおう手で抑えておく。
「お前らもこんなのが隊長で大変だなあ、おい?」
12:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:02:44.07 ID:j6K9ZfLpO
私達が動かないので調子づいたか、酔客が数人席を立ってつめよってくる。
「……なにか?」
「てめえがここで飲むのが気に食わねえってんだよ。おう、何とか言えよ、姉ちゃんよう? ついてんのは下の口だけかい?」
13:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:04:25.04 ID:j6K9ZfLpO
「そうか、気分を害してすまなかった。では私は店を出よう」
「おっ…んだよ? 」
「わたしは宿舎でやることにする。店主、肉をつつんでくれ。あと、酒を二瓶」
14:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:05:53.80 ID:j6K9ZfLpO
そういうわけで、瓶と樽と皿を担いだ連中を引き連れて宿舎にもどることになった。
「なぜ隊長、言いかえさないのですか?!」
「ああ、いつものことだが今日は特にひどい」
15:名無しNIPPER[sage]
2015/03/08(日) 01:06:52.96 ID:RmnPTTbN0
これマジ?
スレタイに対して本文の完成度が高すぎるだろ……
16:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:10:46.21 ID:j6K9ZfLpO
「それじゃ、皆。今日も欠けることなくあの豚共を屠殺できたことを祝おう」
料理の皿を並べ、皆で樽を囲む。
形式的に私が音頭をとると、皆も木杯をかかげて口々にすきなことをいう
17:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:11:18.37 ID:j6K9ZfLpO
ひと通り、飯を食べ、酔いもまわると雑談がはじまる。
「今日はよく働いてくれた。幸いここのオーク共はそう多くないようだ」
「いくら居たって皆殺しですよ」
18:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:12:23.84 ID:j6K9ZfLpO
そんなこんなで夜が更けて、数人は潰れ、数人は後片付けに励み、残りは女を求めて街にくりだす。
私は片付けが終わるのを見届けてから自室にもどり、ベッドに横たわる。
すこしふらつくのは、飲みすぎたせいらしい。
19:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:13:20.49 ID:j6K9ZfLpO
……
赤い……赤い景色が一面にひろがっている。
ああ、やはりこの夢だ。
20:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:14:12.45 ID:j6K9ZfLpO
炎の中の薄ぼんやりとしていたモノたちが、その姿をあらわす。
そこの地面に転がっているのは、お父さんの頭。
あの上半身のお腹の古傷は、向かいのお兄ちゃん。昔、崖から落ちた私をかばって出来た傷。でも、お腹以外はどこ?
21:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 01:15:21.69 ID:j6K9ZfLpO
耐え切れなくなって、水瓶の中に完全に隠れても、耳を塞いでも聞こえてしまう。
ああ、これはもう夢なのだから、はやく終わって、わるい夢だ。夢だ。
目が覚めればみんな元通りで、お母さんにしがみついて、怖い夢を見たって思いきり泣けばいい。
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