11: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:08:11.02 ID:L/XPeEV/0
ちょっと待ってね、と彼がカードのようなものを取り出します。
先ほどもらった貸し出しカードに似ていますが、彼の持っているものは黒い色をしています。
それを読み取り機のようなものの上に近づけると、ピッと音がしてショーケースの蓋が開きました。
12: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:09:22.60 ID:L/XPeEV/0
Memory - サッカーボール
女の子がいます。
背の高さはわたしの腰よりちょっと高いくらいの小さな子です。小学校に入ったばかり、といったくらいの歳でしょうか。
その女の子の前には柵がありました。わたしの背丈よりも高さがあって、柵の先が槍状になっています。
13: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:11:27.94 ID:L/XPeEV/0
……ちょっと、悲しい風景です。
それなら、わたしがなんとかしましょうか。
――ねえ、あの子たちと一緒に遊びたいの?
14: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:13:00.90 ID:L/XPeEV/0
「いいの」
「きっと、ゆるしてもらえないから」
許してもらえない?
15: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:16:45.91 ID:L/XPeEV/0
「ああいうことをすると、おかあさまやおとうさまが、いやがります」
「だから、がまんします」
そう言って、うつむいてしまいました。
16: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:19:14.74 ID:L/XPeEV/0
「あ」
男の子の蹴ったボールが、空高く放物線を描いて、こちらに飛んできます。
17: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:20:26.30 ID:L/XPeEV/0
「……大丈夫。一回くらいなら、バレないよ」
そう、口にしていました。
18: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:21:16.34 ID:L/XPeEV/0
プロローグ - 2
眠りから覚めるように、意識が戻ってきます。
ぼんやりとした視界。
黄色く光り、ときおり明滅する白熱灯の明かり。
19: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:22:18.43 ID:L/XPeEV/0
――読む。
ボールに触れる前にも聞いたその言葉に、はっとします。
(……これが読むということ?)
20: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:24:15.22 ID:L/XPeEV/0
「その顔を見れば何を考えているか大体察しが付くけどね。……そんなに良いものじゃないよ、これは」
ショーケースの向かい側から彼が言います。
表情は読めないけれど、仮面の奥では苦虫を噛み潰したような表情をしているような、そんな気がしました。
21: ◆sXMLNpttdw[saga]
2015/04/09(木) 00:28:09.21 ID:L/XPeEV/0
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