2: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:26:12.80 ID:iBL1VWWio
仕事を取ると言ったものの、結局は足で稼ぐしかない。
これという策もなく、ただひたすらに営業に回る。
「最近、レッスンに顔出せてないなぁ」
3: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:26:41.81 ID:iBL1VWWio
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4: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:27:10.82 ID:iBL1VWWio
「今日も間に合わなくてごめん。……間に合っても大したこと言えないけど」
「プロデューサーさん、そういうこと言わないでください。こうして来てくれるだけでも嬉しいんですよ?」
「あ、あの、プロデューサーが私たちのために頑張ってくれてるの、知ってますから」
5: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:27:45.37 ID:iBL1VWWio
「ところでプロデューサー、何かいいことありましたか?」
不意に、千早に尋ねられる。
「ん?まあ、今日はいい知らせがあるんだが……なんでわかったの?」
6: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:28:18.27 ID:iBL1VWWio
「あー、さっきのいい知らせってやつの話をしたいんだが」
名残惜しいが、このままではキリがないので軌道修正を図る。
「ようやく仕事取れました。おまたせ」
7: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:28:47.05 ID:iBL1VWWio
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昼下がり、いつものようにレッスンスタジオの扉を開ける。
8: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:29:17.20 ID:iBL1VWWio
事務所近くの書店、CDショップ……いない。
ユニットのみんなでたまに寄るという喫茶店……いない。
まさかと思い事務所に戻ってみたが……いない。
半ば途方に暮れて歩いていると公園に差し掛かった。
9: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:29:59.46 ID:iBL1VWWio
「……プロデューサー、やっぱり私ダメダメです」
昨日の収録での失敗を言ってるんだろう。
「弱い自分を変えたくてアイドルになりましたけど、みんなの足を引っ張っちゃって……」
10: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:30:33.01 ID:iBL1VWWio
「ねぇプロデューサー、何とか言ってくださいよ」
横で肩を震わせる気配が伝わってくる。
考えるより先に、思いが口からこぼれていた。
11: ◆Hnf2jpSB.k[saga]
2015/06/07(日) 23:31:22.19 ID:iBL1VWWio
「足を引っ張るから、迷惑をかけるからって言ったよな。できないから、じゃない。きっといつかできるようになる。そう言っているように聞こえるんだ」
過去、そうありたかった自分を雪歩の中に求めているだけなのかもしれない。
「辛いことも苦しいことも、正面から受け止めようとしている。そんな姿が、俺には眩しいんだ」
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