62: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/18(木) 22:35:52.04 ID:MUuaVWOfO
「そう云うこと。……くしゅん!」
少女は小さく頷いてから、三度、小さいくしゃみをした。
びしょびしょに濡れている上、気温もだいぶ下がった。体温を奪われるのは必定だ。
63: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/18(木) 22:38:38.89 ID:MUuaVWOfO
「……ありがと」
やや遠慮があるのだろうか、そそくさと四つ折りされたままの生地を顔に当てるだけで返してきた。
先日の強引な態度とは打って変わったその仕種に、僕は非常にミスマッチさを憶えた。
64: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/18(木) 22:40:22.85 ID:MUuaVWOfO
今夜は円光なんかやめて、大人しく帰った方がいい。
タクシープールの方へ行こう、と促すと、彼女は首を横に振った。
「こんな、水が滴るほど濡れた状態で乗ったら厭な顔される」
65: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/18(木) 22:42:11.67 ID:MUuaVWOfO
「……煩いな」
僕の思考が独り言として漏れていたらしい。
まるで、私を円光わないなら邪魔だから退け、とでも云いた気の、鋭い目つきを僕に向けた。
66: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/18(木) 22:43:39.70 ID:MUuaVWOfO
身体は壊してないだろうか。寝込むことになってしまわないか。
いくら他人とはいえ、少しでも関わりを持った以上は、そう云った思考を振り払うのは難しい。
完全に関わることなくスルーするか、さもなくば徹底的に付き合うかのどちらかにすべきなのだ。
67: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/18(木) 22:44:34.02 ID:MUuaVWOfO
仕方ない……と、会社で何度も吐いたものと似た類いの溜息をひとつ。
「えっ?」
彼女にとって僕の出した答えは意外なものだったのかも知れない。
68: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/18(木) 22:45:21.46 ID:MUuaVWOfO
「ふぅん……ま、好意には有難く甘えさせて貰おうかな」
先日のような腕組みではないが、今日は今日とて女の子と相合い傘である。
喜んで良いのやら悪いのやら。
69:名無しNIPPER[sage !蒼_res]
2015/06/18(木) 22:49:12.01 ID:MUuaVWOfO
それではまた
70:名無しNIPPER[sage]
2015/06/19(金) 07:44:40.44 ID:bhMDbfRDO
こういう退廃的な話好き
71: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/06/19(金) 23:26:26.61 ID:S9oem3+wO
――
道玄坂を登り、同じルートでホテル街へと進んでゆくと、あっという間に空気が変わる。
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