過去ログ - 真姫「にこちゃんと夜空に架かる虹を見るわ」
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41:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:39:03.46 ID:Uv2wZz1J0
サビに入った瞬間、みんなの歌声が途切れる。それは全員が入りのタイミングを間違ったせいではなかった。



「ぁいすきぁー、ばんざぁー……」
以下略



42:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:41:49.91 ID:Uv2wZz1J0
「真姫ちゃん!真姫ちゃんも歌ってよ!」

喜びとも驚きともつかない、巨大な何かに一撃されたような感情の空白状態に陥っていた私に、穂乃果が呼びかけてきた。
全く、いつだって唐突なんだから。

以下略



43:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:44:39.50 ID:Uv2wZz1J0
私の歌も、みんなと似たり寄ったりのひどいものだった。
思えばこの数年、歌うどころか大きな声を出した記憶すらほとんどない。
声量が落ちているし、なまった声帯は思った通りの音程を響かせるだけでも一苦労だ。

それでも──おぼつかなかった私の歌は次第ににこちゃんに追いつき、最初はぶつかり合っていた二人の声は、いつしか一つに融け合ったハーモニーを奏でていた。
以下略



44:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:47:05.85 ID:Uv2wZz1J0
◇◇◇

「絵里ちゃんから連絡が来て、にこちゃんが見たがってるのってなんだろ?って思った時、これしかないと思ったんだ♪」

興奮の時間が過ぎ、お互いの再会を確かめ合った後、詰問した私に笑顔で説明する穂乃果。
以下略



45:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:49:46.08 ID:Uv2wZz1J0
赤とピンクの光に照らされたステージの上で、私とにこちゃんは手を取り合い、お互いの瞳を覗き込む。

叩いてしまったこと、もっと早くに穂乃果たちに相談しなかったこと……後悔も謝罪の言葉も溢れるほどに沢山ある。
もっとも、それを言うなら彼女の方だって私に言うべきことが倍以上にあるだろうけれど。

以下略



46:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:54:32.64 ID:Uv2wZz1J0
◇◇◇

大学病院の病棟のカンファレンスルーム。

プレゼンテーションを行う私に、医局員たちのいくつもの冷たい視線が突き刺さる。
以下略



47:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:55:40.38 ID:Uv2wZz1J0
「……以上を総合して判断すると、このケースでは直接血行再建術による脳機能の回復が期待できると推測されます」

そう締めくくると、居並ぶ医局員から次々に批判と非難が続出した。

発症から数年が経ってからの機能回復は前例がない。
以下略



48:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:56:57.21 ID:Uv2wZz1J0
この機会ににこちゃんの未来の全てがかかっているのだ。
これ以上時期を逸すれば、手術による回復効果は低くなり、合併症の危険は高くなっていくだろう。
絶対に負けるわけにはいかなかった。

「責任は全部私が取ります……彼女にとっては唯一のチャンスなんです、やらせてください!」
以下略



49:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:58:16.00 ID:Uv2wZz1J0
医局の承認という最初の手ごわい関門を突破した私だが、その後はもっと大変だった。

まだ研修医のうちに手術から離れてしまった私が、にこちゃんの手術から周術期の治療まで全てを自分1人で担当し成功させなければならないのだ。
今のままの技量で通用するはずがない。
何が何でも、短い期間の間に自分を鍛え上げる必要があった。
以下略



50:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 21:59:24.20 ID:Uv2wZz1J0
手術室では、全ての準備が完了していた。

滅菌ドレープに包まれ、麻酔による深い眠りの中にあるにこちゃんを確認し、私は自分に問い掛けるように目を閉じる。

──覚悟はできたか?
以下略



51:名無しNIPPER[saga]
2015/06/17(水) 22:00:21.57 ID:Uv2wZz1J0
少なくとも、にこちゃんの覚悟はとっくに固まっている。

入院してから最終点検の検査を受けている間、にこちゃんは始終落ち着いていた。
今朝など病室に迎えに来た私の術衣とマスク姿がおかしいのか、指さして笑う余裕すらあった。
よっぽど手術の準備で短く刈られたあなたの頭の方が面白いわよと言ってやりたかったが、医者としての情けで黙っておいてあげた。
以下略



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