過去ログ - 万里花を愛でるニセコイSS「ハナヨメ」
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14:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:25:37.85 ID:EUGrH/Tp0
自分に何かができるわけではないのかも知れない。
だけどせめて。
それならば、今回万里花が抱いた夢ぐらいは叶えてやりたいではないか。

ガタッと椅子を鳴らして、楽は勢いよく立ち上がった。
以下略



15:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:26:18.61 ID:EUGrH/Tp0
「お嬢様、起きてください」

ゆさゆさと揺すられて、万里花は目を覚ました。
どうやら楽の帰りを待っている間に、うとうとと眠ってしまっていたようだった。

以下略



16:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:27:22.77 ID:EUGrH/Tp0
楽の身に何かあったのだろうか。
店を飛び出して行ったときの様子からすると、彼のことだからどんな無茶をしていないとも限らない。

不安な考えが脳裏をよぎったが、万里花の迎えにこの二人を寄越す辺り、それほど切羽詰まった状況とも思えななかった。
万里花は楽のことを信じて、とにかくこのまま一刻も早く楽の元に向かうことだけを考えることにした。
以下略



17:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:28:16.01 ID:EUGrH/Tp0
「ここは……」

連れてこられたのは町の外れにある小高い丘の上。そこにポツンと、小さな小さな教会が立っていた。
「来たわね、万里花ちゃん」
声をかけてきたのは先週、あの結婚式場で出会ったドレスのデザイナーの女性だった。
以下略



18:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:29:27.39 ID:EUGrH/Tp0
ギイイと軋む音を立てて、教会の正面扉がゆっくりと開く。
差し込んでくる夕暮れの日差しに、小さなシルエットが浮かび上がった。

大輪の花束を模したような純白のウエディングドレスは、夕陽に照らされて、少女の髪と同じオレンジ色にキラキラと輝いていた。

以下略



19:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:30:12.41 ID:EUGrH/Tp0
「楽様、本当にありがとうございます」
バージンロードの中頃にタキシード姿で立っていた楽の元にたどり着き、万里花は心からの感謝を込めて言った。

髪のセットと化粧直し、そしてドレスへの着替えをしている間に、万里花は事の経緯を聞かされていた。

以下略



20:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:31:50.25 ID:EUGrH/Tp0
「あー、でな、結局パンフレットの写真撮影じゃなくなっちまったけどさ……」

これから言おうとしていることがとても「くさい」ことだという自覚があるだけに、踏ん切りがつかずに言葉に詰まってしまう。

だけど、照れてばかりもいられない。
以下略



21:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:32:37.94 ID:EUGrH/Tp0
招待客のいないバージンロードを二人で進む。
一歩毎に胸が高鳴り、これでは自分の鼓動が相手に聞こえてしまうのではないかと心配になってくる。

「こ、これでいいのか?」
「はい、新郎は花嫁をエスコートするように、腕を組んで祭壇まで歩いて行くのですわ」
以下略



22:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:33:52.38 ID:EUGrH/Tp0
祭壇の前にたどり着くと、牧師のセリフを万里花が請け負うなんとも奇妙な結婚式が始まった。

万里花の美声をたどたどしく楽が追うようにして賛美歌を歌い、万里花がすっかり覚えているという聖書の中の愛の教えを暗唱する。
突然妙な外国人訛りを交える万里花に楽が突っ込んだり、うっかりドレスの裾を踏んでしまった楽を万里花が叱ったり。
二人きりなのに、いつも以上の賑やかさで式が進んでいく。
以下略



23:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:34:47.13 ID:EUGrH/Tp0
照れたように一度俯いた後、万里花は顔を上げて、決心をしたように続ける。


「……その健やかなるときも、病めるときも……富めるときも貧しきときも」

以下略



24:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:36:05.80 ID:EUGrH/Tp0
「誓いの言葉の後は、結婚証書に署名をしたり指輪の交換をするのですが……今はどちらもありませんし、飛ばしてしまいましょうか」

「おっと待った。指輪ならあるぜ」
「えっ?」

以下略



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