過去ログ - 律子「待ちくたびれたプロデューサーへ」
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26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:16:44.45 ID:O6N65gcso

「律子! このバカ!」

 プロデューサーの声が聞こえて、私はよかった、とため息をついた。
 彼は息を切らしながら走って、やって来た。
以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:17:57.52 ID:O6N65gcso
 心臓が押さえつけている下で、破裂しそうな魂が金切り声を上げていた。
 足元の水たまりを思い切り踏みつけると、底に溜まっていた泥が煙のように混ざって、ひっくり返ったように跳ねた。
 普段は絶対はかない踵の高い靴、靴下、ひらひらのついたスカート、せっかく綺麗なのに、汚れてしまった。
 傷つけるように水を蹴って、みんな汚した。

以下略



28:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:18:23.77 ID:O6N65gcso

「バカっ、律子」

「は、離してください!」

以下略



29:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:19:08.63 ID:O6N65gcso

 私はようやく暴れるのをやめて、疲れきった身体を任せた。
 しゃくり上げる背中と、汗で湿ったままの髪を、彼の手は優しく撫でてくれた。
 子どもをあやすように、あるいは緩やかに踊るみたいに、少し揺らした。

以下略



30:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:20:01.18 ID:O6N65gcso

「これから……私、決めました」

「……先のことか」

以下略



31:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:20:42.64 ID:O6N65gcso
 プロデューサーはゴシゴシと涙を拭って、両の手を私の頬へそっと添えた。

「な、なに……?」

「頑張れよ。絶対、忘れないからな」
以下略



32:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:21:14.23 ID:O6N65gcso

「名残惜しいな」

「そういうこと言わないでよ、さよならが言いづらいじゃない」

以下略



33:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:21:48.31 ID:O6N65gcso
 8

 はー、と思わずため息が転がり落ちそうになるのを、すんでのところで受け止める。
 祝賀パーティとは言うけれど、私には堅苦しくて仕方ない。

以下略



34:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:22:34.77 ID:O6N65gcso
 会場を出てすぐ、携帯電話を鞄から取り出す。
 一応、まだ会場に居るマネージャーに、先に帰る旨をメールしておこうと思って、だ。

 待ち受け画面を開くと、不在時に着信のあったことを示すアイコンが点滅していた。
 着信履歴の一番新しい名前に、私はついつい頬を緩めてしまった。
以下略



35:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:23:51.68 ID:O6N65gcso
「どうしたんです。もしかして、待ちきれなくなった?」

「えーとだな、まずは、おめでとう律子! ……と言わせてもらおう」

「ああ、えーと、ありがとう。大したことじゃないけど」
以下略



36:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/23(火) 02:24:17.05 ID:O6N65gcso

「頑張ったな、律子」

「あははっ、当然の結果ですよ」

以下略



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