過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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489:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 05:47:53.73 ID:bDJjjpJNo


恥の多い生涯を送ってきました。そう言えるほどに人の営みがわからないとも思っていないし、生涯と呼べるほど長く生きていないとも思うが、ある時期から普通なら恥ずべき罪悪感を抱えたまま生きてきた。

かつての少女に大きな罪悪感を。これまで俺に関わった多くの人たちに、少しずつの罪悪感を。それらは決して解消されることがないから僅かずつ積み上がり、時が経つほどに大きく、重くなってきている。
以下略



490:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 05:49:15.57 ID:bDJjjpJNo
そう考えると、未来へと続く道は霞に覆われたように狭く感じられ、己の標を失うような気持ちになった。

俺が罪悪感を感じる必要などないのかもしれない。人との関係なんて、どうやったってどこかで誰かを傷つける。それを自分のせいだとか感じていてもキリがない。

わかってはいる。だが、俺の過大な自意識がそうさせてくれない。頭のどこかで、誰も傷つけなくても済む選択があったのではないか、そう考えてしまうのだ。
以下略



491:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 05:49:58.47 ID:bDJjjpJNo
だがこの夏は昔とは違い、俺にはできない選択をする比企谷の案に乗る形で関係を壊す手助けをした。

その時の気分は当然最低なもので、今でも鮮明に思い出すことができる。その代わりに、彼女を取り巻く環境を変化させることはできたと思う。

その後どうなっただろうかと、心のどこかで気にしてはいたが、こんな形でまた会うことになるとは思わなかった。
以下略



492:名無しNIPPER[sage]
2015/08/17(月) 05:50:10.23 ID:qLzRObr3o
キテルー


493:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 05:50:40.70 ID:bDJjjpJNo
観察もほどほどに、何をしたらいいかわからず右往左往している小学生の元に向かうことにした。留美ちゃんがいたのは予想外だったが、俺は会長から頼まれたことをやらねばならない。

「じゃあ小学生のところへ行ってくるよ」

「……え、ええ。お願い」
以下略



494:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 05:51:37.93 ID:bDJjjpJNo
だから昨日俺は、帰りの駅の方向が陽乃さんたちと同じいろはを、人払いの目的で買い物に付き合わせた。いろははそれをおそらくわかっていない。

こうして、少しずつ罪悪感が増していく。俺がいい奴?冗談じゃない。他人を利用するだけ利用して、何も報いていない人間がいい奴なわけがない。

罪悪感は、自分を許すための免罪符だ。
以下略



495:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 05:53:54.67 ID:bDJjjpJNo
「そんなことはないさ。結衣には結衣にしかできないことがあるし、みんなも助けられてるよ」

「それ……隼人くんも、ほんとにそう思う?」

隼人くんも。俺以外にもそう評価している人がいるということだ。実際、その評価は正しいと思う。結衣は俺が見たって、誰が見たっていい子だ。
以下略



496:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 05:55:52.05 ID:bDJjjpJNo
「……そっか。うん、ありがと隼人くん。ちょっと元気、出たかも」

「そうか。それならよかった。じゃあ行こうか」

「うん」
以下略



497:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 05:58:14.25 ID:bDJjjpJNo
案自体は比企谷のものだが、実際に恐怖を味わわせたのは俺だから、俺から留美ちゃんに話しかけるのは躊躇われた。見かねた結衣が話しかけてくれてはいたが、成果は芳しくなかったようだ。

作業をする小学生たちから少し離れた場所で結衣と話す。

「あんなことをしたのに、あまり変わってないな」
以下略



498:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/17(月) 06:01:42.96 ID:bDJjjpJNo
「…………うん」

結衣が頷くまでの少しの間は、留美ちゃんというより、話しかけにいく俺を気にかけていたからなのかもしれない。

留美ちゃんは長いソファーベンチの端にちょこんと座り、ハサミを器用に使って一人で星形の飾りを作っていた。そこへ向かい声を掛ける。
以下略



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