過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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779:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:44:21.96 ID:eNgRSOWAO
わかるのは、俺が思いを告げると話したことで二人の関係も変化するかもしれないということだけだ。

二人の間に俺が入ることはできないし、彼女たちの考えを強制的に変えさせることもできない。

なら俺にできるのは、二人が俺と同じものを信じてくれるよう、同じ方向を見てくれているよう祈ることだけだ。
以下略



780:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:45:04.45 ID:eNgRSOWAO
「そうだよ。聞きたくないって思ってたけど、それでも、ヒッキーの気持ちをちゃんと聞けて、よかった」

そう話す二人の表情を、声を、温度を、感情を。胸の内にしっかりと仕舞ってから、生徒会室の扉を閉めた。

部屋を出て数歩ほど歩いたところで、必死に堪えていた理由のわからない涙が僅かに滲み出たが、拭うことなく足を動かし続けた。
以下略



781:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:46:45.26 ID:eNgRSOWAO
そうか、わたしが聞いてたことは知らないんだ。わたしも盗み聞きしてたと思われたくないし、わざわざ知らせる必要はないかな。なんとか誤魔化しちゃおう。

「あ、いや……。ちょっと景色眺めたくて。キレイな夕焼けだなーと」

うぅ、超怪しい。大丈夫かな……。
以下略



782:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:47:35.22 ID:eNgRSOWAO
「先輩こそなんでこんなところに来たんですか?」

きっとあの後、いくつかの話が続いてから先輩だけがここに来たのだろう。最終的にどうなったかなんてわたしには全然想像もつかない。

「ちょっと、頭冷やそうかと思ってな……」
以下略



783:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:49:26.85 ID:eNgRSOWAO
「そうですか……」

「ああ……」

二人並んで沈みゆく太陽を眺める。さっきはここにいる理由を誤魔化したくて言ったことなんだけど、改めて眺めてみるとほんとにキレイだ。
以下略



784:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:50:14.15 ID:eNgRSOWAO
「なんで他人事なんですか。先輩のおかげでもあるんですよ?」

「俺は別に、なぁ。俺じゃなくてもやれることしかやってねぇからな」

「いいえ、そんなことないです。そもそもなんですが先輩がいないと、この生徒会のメンバーになってませんから」
以下略



785:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:51:00.68 ID:eNgRSOWAO
先輩がわたしに生徒会長にならずに済むって言いにきたとき、そうしようかなって考えが頭に浮かんだ。

奉仕部がなくなるって、生徒会に移るって聞いて、わたしもその中に入れるのかなって思った。

「はー、そうなの……」
以下略



786:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:52:15.30 ID:eNgRSOWAO
「ちょっと、最後に台無しになるようなこと言いませんでした?」

「やー、それが本音なんだな」

先輩は悪びれることもなくろくでもない真実を語った。わたしのことを信じてくれてるのかも、とか思ったのに……。
以下略



787:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:53:18.89 ID:eNgRSOWAO
嬉しくて仕方がなくて、顔がニヤけてしまいそうになったけど必死に押しとどめた。

「……まぁ俺はどこまで行っても俺だからな。俺にしかならねぇよ」

「……そうですね」
以下略



788:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:53:52.37 ID:eNgRSOWAO
「結衣先輩と、雪ノ下先輩のことです」

先輩が驚いた顔でわたしを見つめる。わたし自信も驚きたい気分だ。これを聞いてわたしはどうしたいんだろう。

確認したって自分が傷つくことになるのはわかってるのに。
以下略



789:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:55:04.18 ID:eNgRSOWAO
なんでわたしは後押しするような、焚き付けるようなことをしてるんだろう。こんなことしたいんじゃなくて、外堀を徐々に埋めていくように慎重に近づいていきたいのに。

わたしはもっと周到で狡猾で、駆け引きも計算も上手だとか、そんな風に思ってたのに。こんなの、全然わたしらしくない。先輩たちと話すと、全然わたしの思うようにできなくなる。

……そっか。他人と真剣に向き合うって、計算とか打算でやれることじゃないんだ。
以下略



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