13:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:04:27.26 ID:YMdcm1g70
すこし迷ってから、平塚先生に確認してみよう、と思った。職員室へ向かうために歩き出す。
「なにか御用ですか?」
背後からの声に、足がつんのめった。
14:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:05:35.74 ID:YMdcm1g70
カチリとロックの解除音が聞こえ、私は中に通された。
入ると、ひんやりとした空気に変わる。反射的にマフラーをきつく締めた。
「座っててください。紅茶を入れますね」
15:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:06:14.49 ID:YMdcm1g70
「比企谷くんは?」
「彼については存じありません。 しばらくしたら来ると思いますよ」
「そうなの」
16:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:07:03.37 ID:YMdcm1g70
と、誰かがこちらに向かってくるのが見える。
中肉中背。ポケットに手を突っ込み、擬音をつけるとしたら、ふらふらであろう力弱い歩み。
ぼんやりとしているのか私には気付いていない様子。
17:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:08:09.11 ID:YMdcm1g70
「あの…私のこと、知らない?」
「いえ。知っていますよ。城廻先輩でしょう」
「はーい」
18:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:08:57.53 ID:YMdcm1g70
「お願いがあるの」
少しの枕話をしたあと、そう切り出した。生徒会室にいるのは、
私と比企谷くんの二人だけ。他の役員は誰もいない。
19:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:09:38.41 ID:YMdcm1g70
うすうす思っていたことだけど、彼は受け入れている。
「誤解なんでしょう? 相模さんの件」
あの日以来、向けられる冷たい視線も。
20:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:10:35.77 ID:YMdcm1g70
「そうだよね…やっぱそうだよね」
「城廻先輩は、何も悪くないでしょう」
「ううん」
21:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:11:12.80 ID:YMdcm1g70
彼は一礼して立ち去ろうとした。「比企谷くん」背中に向かって声をだす。
「私ね、もうすぐ受験なの。 合格発表の日、一緒に来てくれないかな」
「唐突ですね」
22:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:12:00.33 ID:YMdcm1g70
受験の日はあっという間にやってきた。
私立大学だから午前中ですべてが終わる。この午前中で今年の生活が決まる。
自信は…まあ普通と言っておこう。
23:名無しNIPPER
2015/07/21(火) 12:12:56.16 ID:YMdcm1g70
終わった。部屋の本棚を埋め尽くしていた参考書。数式で埋め尽くされたノート。
受験にかかわったモノは、もう何も見たくない。
明日からしばらく続く、平和で穏やかな日々を満喫しよう。
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