67:1[saga]
2015/08/06(木) 04:08:29.07 ID:DprYNBt5O
聡「数絵をあなたに預けろと、そう仰るわけですな」
重々しく口を開けば、その言葉の端々にふざけるなとでも言わんばかりの威圧を感じる。
それは健夜の一方的な被害妄想じみた感想であったが、それも仕方ないほどに、その場の空気は重く沈み込んでいた。
68:1[saga]
2015/08/06(木) 04:09:03.59 ID:DprYNBt5O
「失礼」とだけ断り、煙草を咥えた聡は安っぽいガスライターを手に取った。
聡「…もしもあなたがそこらの馬の骨だったら、そう一蹴しているところです」
69:1[saga]
2015/08/06(木) 04:10:05.70 ID:DprYNBt5O
聡「改めて問わせていただきたい。数絵は私が手塩にかけ育んできた蕾だ。あれには私の麻雀を余さずすべて注ぎ込んできた。あなたに、それを託すだけの価値がおありか」
投げかけられた問いに、健夜の全身が硬直する。
70:1[saga]
2015/08/06(木) 04:11:22.20 ID:DprYNBt5O
健夜(それこそありえない…!)
高い壁がそびえているから、だから背を向け逃げ出すのか。それこそが何よりも無礼にあたるのではないだろうか?
71:1[saga]
2015/08/06(木) 04:13:09.99 ID:DprYNBt5O
健夜「いまの私に、それを証明する手立てはありません」
聡「……」
72:1[saga]
2015/08/06(木) 04:14:09.64 ID:DprYNBt5O
自分はなにをしているんだろう。なにが私をここまで駆り立てるんだろう。
ふと、ぽつりと滴るその疑念に、ある顔が浮かぶ。
物寂しげな、それを隠す幼い笑み。
73:1[saga]
2015/08/06(木) 04:14:42.11 ID:DprYNBt5O
聡「……」
健夜「……」
74:1[saga]
2015/08/06(木) 04:16:49.79 ID:DprYNBt5O
聡「はてさて。ここらで巣立つ時がきたのやもしれんな」
数絵「それでは…」
75:1[saga]
2015/08/06(木) 04:18:07.37 ID:DprYNBt5O
南浦邸を後にし、数絵に見送られて健夜は帰路につこうとしていた。
満足げな健夜に対して、数絵の表情は険しい。
数絵「小鍛治プロ。来年より、御指導御鞭撻の程、よろしくお願いいたします」
76:1[saga]
2015/08/06(木) 04:19:22.05 ID:DprYNBt5O
あとひとり。
色々と問題はあったが、とにもかくにもあとひとりだった。
そうとなれば、あとは手段を選んでいられない。
77:1[saga]
2015/08/06(木) 04:22:04.65 ID:DprYNBt5O
憩「ごめんなさい。小鍛治プロのお目に叶ったということはすごく光栄なんですけども、慎んで遠慮させていただきます」
もう何度耳にしたかわからない「お断り」。
最近では中学生のみならず、高校一、二年生にもあたっては砕けていた。
283Res/129.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。