過去ログ - 八幡「誕生日ってなんだろうな」
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1: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:23:10.95 ID:N6QgKwrI0
決まった時間に起きる。そんなことを、夏季休暇に入って2週間が経った今でも続けていた。
タイマー設定したクーラーは駆動するのを止めてから2時間が経過し、まだ朝なのにかかわらず夏のじっとりとした暑さを全身に感じた。たまらずタオルケットをはね除ける。

この時間に起きるのも慣れたものだ。
適当に引っつかんだシャツに着替えて、顔を洗いリビングへ。ひとりで適当に朝食を済ませていると、たまたま目に飛び込んできたのはカレンダーの赤丸。
今日の日付に小町によってつけられたそれと、その横のメッセージをぼうっと眺める。

「誕生日、か」

その呟きは、誰の耳にも届かない。


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2: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:26:51.71 ID:N6QgKwrI0
×      ×      ×



盛夏だった。本日は記録的猛暑だとかで、とても暑いらしい。
以下略



3: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:29:21.66 ID:N6QgKwrI0

「単純に生まれた日で、それを祝う日じゃないの?」

「やっぱ普通はそうだよな」

以下略



4: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:33:18.31 ID:N6QgKwrI0
いるんだなこれが。ソースは俺。正確には家族意外の人間には祝って貰えないか。
ごほんと咳払いをひとつ。

「まぁ、いるとしてだ。祝って貰えないってことは、大勢の人間の中でもとりわけ無価値な人間ってことだ」

以下略



5: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:36:15.61 ID:N6QgKwrI0

「あんたさ、そこまでネガティブなやつだったっけ?」

「察しろ、疲れてんだよ。大体、人間そう変われるもんじゃない」

以下略



6: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:37:16.79 ID:N6QgKwrI0

「おめでとう」

「え?」

以下略



7: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:38:54.71 ID:N6QgKwrI0

「生きてる意味、ちょっぴり生まれたよ」


目を見開く。世界が少しだけ広く見えた。
以下略



8:名無しNIPPER[sage]
2015/08/07(金) 23:39:17.13 ID:Rat2i88AO
おっ、サキサキSSかな?
期待


9:名無しNIPPER[sage]
2015/08/07(金) 23:41:44.41 ID:phDTgydf0
サキサキSS大歓迎
期待


10: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:45:33.37 ID:N6QgKwrI0
期待を裏切ります、すんません。再開します。


11: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:46:47.34 ID:N6QgKwrI0


×      ×      ×


以下略



12: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:48:20.83 ID:N6QgKwrI0

『八幡!! 我が直々にお主の生誕を祝ってやろうとメールを送ってやったぞ!! 感謝するが良い』

1通目は材木座からだった。なんというか、まあ、うん。相変らずだな。少し苦笑を漏らしつつ返信をタップする。

以下略



13: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:49:45.61 ID:N6QgKwrI0

『八幡お誕生日おめでとう! 直接言いたいけど、中々会えないもんね? お互い勉強大変だけど、目標に向かって頑張ろう! 』

3通目は戸塚からだった。思わず口元を手で覆って隠す。こんな顔、周りに見せられるかよ。
返信をタップして文字を入力していく。
以下略



14: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:51:43.24 ID:N6QgKwrI0

×      ×      ×


ブラインド外の空の色はすっかり薄暗色に染まっていた。
以下略



15: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:52:58.10 ID:N6QgKwrI0
「なんだよそれ。で、何買って帰ればいいんだ?」

『んーとね、洗剤とー。あとはろうそくかな?』

「洗剤とろうそく? 変なチョイスだな」
以下略



16:名無しNIPPER[sage]
2015/08/07(金) 23:53:43.69 ID:fvB6mNTBo
期待


17: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:54:46.85 ID:N6QgKwrI0

ただの数字の羅列。登録外を意味するそれに、思わず眉根が寄る。

一瞬かけ直そうかと思ったが、やめた。ランダムに発生させた番号で電話してきた業者かもしれないし。普段は問答無用でシカトするのに、今日の俺は少しだけ違った。きっと心が弛緩しているせいだ。そうに違いない。
軽くかぶりを振って、荷物を纏める。朝から長いことお世話になった予備校を出て、俺は自転車で走りだした。
以下略



18: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:56:33.58 ID:N6QgKwrI0


小町のお使いを終えて、ようやっと家路につく。
汗をかくのも嫌なので、比較的のんびりとしたペースで走る。それでも、纏わりつく夏の暑さの前には無駄な抵抗なようで、ほどなくして額や背中に不快な汗が流れ始めた。これはもう季節柄仕方がないことだ。

以下略



19: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:58:00.63 ID:N6QgKwrI0

今日は誕生日。
例え誰にも祝って貰えなくとも、自分が無価値で、生きる意味のない人間だなんて本音では思いたくない。それはそのまま、人生の否定だ。今までの生き方を全否定する行為だ。生きたいと願って死んだ人間への冒涜だ。

今日は誕生日で。
以下略



20: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/07(金) 23:59:18.39 ID:N6QgKwrI0

これはスパムではないと。そんな直感があった。
しかしそうなると、一方的に番号を教えた相手か。はて、誰かいただろうか。でも、まあいいかと、ポケットにしまい込みぐっと脚に力を込める。

終ぞ、それに折り返すことはないだろう。電話の主は怒るだろうか。呆れるだろうか。
以下略



21: ◆.XibMUKIvI[saga]
2015/08/08(土) 00:00:47.91 ID:fe/1sMHr0

外から見ても家の中は暗い。
光が漏れ出ない家には人の気配がせず、寂しい印象を受けた。
あれ、小町がいるはず、だよな?インターホンを鳴らす。それの応答はない。

以下略



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