138: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:01:58.66 ID:s8phhYh5O
ラグタイムで弾いていたフレーズが、今度はカントリーミュージックの潮流となって麗を動かした。
その美麗な動きに、凛や未央は勿論のこと、卯月も口を開けて惚けている。
麗は若干苦笑しつつ、「さあ、みんな一緒にやってみよう」と促す。
139: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:02:32.10 ID:s8phhYh5O
リズムに合わせて足踏みを入れたり、腕を振ってみたり。
身体をひねり回したり、飛び跳ねたり、片足を軸に回転したり。
そのまま、様々な曲に合わせて、麗は色々な情景を、声で、身体で、表現する。
140: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:03:06.51 ID:s8phhYh5O
およそ一時間ほど身体を動かし、クールダウンを兼ねてストレッチをしている際のこと。
ぎこちない柔軟運動をこなす凛に、麗が訊く。
141: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:03:34.05 ID:s8phhYh5O
「ふむ、そうか」
麗は顎に手を添えて頷いた。
そして、その様子を不思議そうに眺め眉根を寄せる凛に気付き、
142: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:04:12.80 ID:s8phhYh5O
「芸能人は見られるのが仕事だからな。整った歯並びと云うのは重要なんだ。
かと云って、矯正されたそれは、まるで入れ歯のような人工的な印象を与えてしまう。
その点、君の“自然な歯並びの良さ”と云うのは大きな武器となろう」
麗は腕を組んで軽く頷き、「君は恵まれているな、親御さんに感謝するんだぞ」と笑った。
143: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:04:42.32 ID:s8phhYh5O
丁度のタイミングで、防音扉が音を立て、社長が顔を出す。
視認した麗は、凛、卯月、未央を立たせて、レッスンの締めくくりに移った。
「さて、体験はどうだったかな。勿論今日やったことが全てではないが、多少は空気を感じて貰えたと思う。
144: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:05:09.18 ID:s8phhYh5O
「正直に云えば、現時点では三人とも平均的な一般人レベルに過ぎません。島村君は多少こなれてはいますがね」
彼女も同じように、更衣室へ向いたまま答える。
「はっはっは、相変わらず厳しいねえ、麗は。――他の二人はどうだい?」
145: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:05:37.25 ID:s8phhYh5O
「ふふっ、いま私が述べているのはあくまで身体能力の話ですよ?」
そう云って、麗は社長を見、にやりと口角を上げた。
「それ以外の部分なら、あの子自身にはあまり自覚がないようですが、色々と恵まれています。
146: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:06:04.15 ID:s8phhYh5O
――そして、それこそが普通の人間との決定的な差です。
147: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:06:32.36 ID:s8phhYh5O
麗は、再度更衣室の方を向いて表情を引き締め、強くそう云い切った。
身体能力は、無論、センスや才能も物を言うのだが、トレーニングを積んで高みへ昇ることが可能。
しかし生まれながらに左右される要素は、後からどのような修練を重ねても、会得することはできない。
148: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:07:13.27 ID:s8phhYh5O
社長は何も云わないが、目を細めることで回答した。
無言の返事に、麗は肩をやや竦めながら笑い、言葉を続ける。
「本田君だって、15歳であのグラマーな体つきは大きな武器になるでしょうし、島村君の愛嬌も元気になれる。
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