過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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213: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:58:37.08 ID:s8phhYh5O
ぷはぁ、とタオルから顔を離すと、パタパタと云うスリッパの音を纏わせて、社長がゆっくり歩いてきた。

「大丈夫かね?」

「はい、……なんとか」
以下略



214: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:59:04.22 ID:s8phhYh5O
「忍耐と無謀は別物だよ」

緩やかに社長は諭すが、凛は首を横に数度振り、

「いえ、まだいけます――」
以下略



215: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:59:44.18 ID:s8phhYh5O


――

数時間に亘る初レッスンをこなしたあと、凛はボロ雑巾のようになっていた。
以下略



216: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:00:13.00 ID:s8phhYh5O
「……いいんですか?」

Pが小声で社長に問うた時、

「勿論、これ以上やっては身体を壊すと云うところまでいきそうだったら、止めさせるよ」
以下略



217: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:00:48.81 ID:s8phhYh5O

「うひ〜……ダンスがこんなきっついなんて思わなかったよ〜」

三人が更衣室へ入ると、簡素な椅子に体重を預けながら未央が嘆息した。

以下略



218: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:01:19.75 ID:s8phhYh5O
「な、何とか……ね……」

ミネラルウォーターを何度も呷ってから、凛は気丈に答えた。

しかしペットボトルを持つ腕は、その空になった軽い容器を持ち上げることすら叶わず――
以下略



219: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:02:02.05 ID:s8phhYh5O
当の未央は、首の辺りをタオルで拭いながら、やや目を丸くする。

「私はむしろ、しぶりんのガッツにびっくりしたよ? 普段の澄ましてる姿からは想像もつかない迫力だった」

「そりゃ……私だけ出来てなかったんだから当然でしょ」
以下略



220: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:02:31.97 ID:s8phhYh5O
「私……このままでやっていけるのかな……」

ようやくウェアの両袖から腕を抜いた凛が、独り、ロッカーの中へ小さく呟いた。

弱気の言葉がついつい口をついてしまう。
以下略



221: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:03:15.42 ID:s8phhYh5O

往きと同じ道を同じメンバーで同じように戻る。

凛たちが事務所のソファに身を沈めると、ちひろが甘くて薫りよいアイスココアを持ってきてくれた。

以下略



222: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:03:42.65 ID:s8phhYh5O
「あ゛〜〜……おいひい……」

ビールを飲んだ親父のような声で未央が唸り、凛と卯月は揃って大きく首肯を添える。

社長や男性陣はパーテーションの向こうで何かをしているようだが、今の三人にはどうでもいいことだ。
以下略



223: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:04:53.92 ID:s8phhYh5O
「とんでもない。女の子にとって、運動後の糖分は麻薬にも等しい。ただそれだけのことですよ」

ちひろは我関せずと云うかの如く、目を瞑り、しれっと淡白に返答した。

社長はこめかみをぽりぽりと掻いてから、アイドルに告げる。
以下略



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