247: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:21:06.21 ID:s8phhYh5O
宛転と話し合いを進めるプロデューサー陣の背後を、ちひろが横切り、執務机へ歩いていく。
「まずは第一関門突破、ですね?」
社長に、湯気の立つ茶碗を差し出しながら、破顔した。
248: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:37:52.49 ID:s8phhYh5O
・・・・・・・・・・・・
249: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:38:26.25 ID:s8phhYh5O
イベントの観客動員数はせいぜい二桁だし、雑誌は全国流通などされず発行部数などお察しな零細。
どちらも小さな仕事ではあるが、アイドル活動の報酬として初めて金銭を得た――
この事実は、CGプロそしてアイドルたちにとって、非常に大きな意味を持った。
250: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:39:00.70 ID:s8phhYh5O
他方、凛は。
相変わらず、スタジオでレッスンを受ける毎日だ。
251: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:39:54.79 ID:s8phhYh5O
例えばボーカルは、声量こそ以前より出るようにはなったが、こと安定性は一般人のカラオケと変わらないし、
ダンスは、身体の柔らかさが足りずに、まだまだぎこちない動きは解消されていない。
表現力に至っては、澄まし顔こそ美麗なれ、笑顔などは生来の無愛想ぶりが矯正される気配なし。
252: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:40:30.18 ID:s8phhYh5O
そして、文末に控えめな表現で記された「アイドルとしての活動をさせてはどうか」と云う提案。
凛の集中力は素晴らしい。だからこそ折れる時は――直前まで気付かず、兆候なく折れてしまう。
仕事をすることが、一種の気分転換になるのではないか。
253: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:41:02.06 ID:s8phhYh5O
事務所は保育所ではない。
各アイドルに割ける予算も限られている。
CGプロが本格稼働を始めてからおおよそ一箇月。
254: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:41:40.55 ID:s8phhYh5O
――
凛は、脳天に固い物が当たる感触で鈍く覚醒した。
255: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:42:11.12 ID:s8phhYh5O
そこでようやく、古文の授業中に寝てしまったのだと気付く。
きっと冊子の角――あの痛いところ――で小突かれたのだ。
はっ、と一気に意識が戻り、慌てて上体を起こす。
256: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:42:39.14 ID:s8phhYh5O
その様子を見届けた先生は、特に何かを云うことはせず、咳払いをしながら教壇へと戻って行った。
教室内は、“気難し屋”が見せた珍しい光景にざわついている。
隣で涎を垂らしながら爆睡しているまゆみのことは、誰もがスルー。
257: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:43:19.33 ID:s8phhYh5O
「凛にしては珍しかったわね」
放課後、スクールバッグに教科書やらノートやら詰めているところへ、あづさが苦笑気味に声をかけた。
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