628: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:19:31.91 ID:3+pD+bLQo
気を取り直して、入口の自動ドアをくぐり、改装したてで塗料などの匂いが残る建物内を練り歩く。
「大きくなるから、社員を増やしてこれまでプロデューサー諸君に任せていた諸業務を分散させるようにするよ」
629: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:20:01.65 ID:3+pD+bLQo
今はやや大き過ぎるようにも思える社屋でも、じきにちょうどよい容量となるくらい会社を成長させたい。
現在持つリソースなら建物の四階までで充分埋まるが、眠らせている上層階を稼働させられるようになりたい。
そしてそれはきっと、そう遠からず可能だろうという展望。
630: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:20:46.30 ID:3+pD+bLQo
「プロデューサーとアイドル諸君には、このエリア――制作部に籍を置いてもらうよ」
社長はそう云って、磨りガラスでできた扉を開けた。
青いOAフロアが隅々まで敷かれた、現時点では何もない、がらんどうなだだっ広い空間が目に入る。
631: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:21:19.10 ID:3+pD+bLQo
その後、レッスン室や福利厚生施設を見学してテンションの上がるアイドルたちを見て、相好を崩す。
「年度明けには麗も合流してくれるし、バックアップ体制はより充実できるだろう」
何度も頷いてから、Pたちの方を振り返った。
632: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:22:00.41 ID:3+pD+bLQo
――
寒風吹き荒び、冬が本番の力を発揮している十二月中旬。
633: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:22:31.29 ID:3+pD+bLQo
まゆみのプチ不良ギャル然とした恰好、そしてあづさの典型的なJK然とした恰好に於いて、
防寒具らしい装いは首許の柔らかそうな布だけだった。
特に下半身は丈の短いプリーツスカートに生足、ふくらはぎにゆるく履いた靴下のみ。
634: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:23:02.29 ID:3+pD+bLQo
「こんばんはーっす」
「あら二人とも、いらっしゃい」
花屋の店頭へ上がったまゆみが乱暴な挨拶をすると、奥から凛の母親が出て応対した。
635: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:23:29.88 ID:3+pD+bLQo
部活があったから本来はあづさ一人に頼むところだが、
生憎彼女は登校日につきものの生徒会の用事が遅くまであった。
結局、どちらも下校時間に大した差はない。
636: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:24:00.18 ID:3+pD+bLQo
「いつもありがとうね、二人とも」
「いえいえ。じゃ、わたしたちはこれで」
二人の背中を見送った母親は、娘の頑張りを認めつつも「さてお父さんにどう云おうかしらね」と思案顔。
637: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 20:25:07.25 ID:3+pD+bLQo
花屋から出たまゆみたちの横を、味気のないライトバンが通り抜け、巻き起こした風が彼女らを縮こまらせる。
店の裏手に停車したそれから降り立ったのは、誰あろう凛だった。
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