過去ログ - 渋谷凛「私は――負けたくない」
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821: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:22:40.26 ID:3+pD+bLQo
埋立地特有の無機質な道をすいすい転がっていく社用車の中で、凛が控えめに笑って息を吐く。

「たぶん、今年に入って一番痛快だったと思うよ。ありがとね、プロデューサー」

「そりゃあな。凛みたいな素晴らしいアイドルを虚仮にする糞野郎には容赦なんてしねえよ。
以下略



822: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:23:06.84 ID:3+pD+bLQo


――

それと時期を前後して、CGプロ社内スタジオでは。
以下略



823: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:23:36.46 ID:3+pD+bLQo
「渋谷、P殿からそれらしい話は耳に入れられているし、君のその心意気は認めるが……
 身体への負担を考えるとあまり賛成はできないな」

「覚悟の上です。リスクのない成長なんて、ないと思っています」

以下略



824: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:24:04.59 ID:3+pD+bLQo
暗闇坂も大黒坂も、麻布で有名な坂道。

大黒坂はほどよい勾配で道幅も狭すぎず広すぎず、地元の人のランニングコースになっている。

対して暗闇坂はかなり急な心臓破りの坂で、道幅もだいぶ狭い。
以下略



825: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:24:34.34 ID:3+pD+bLQo
「わかりました」

そう云って凛はレッスンウェア姿で出てゆき、きっかり四十分後、
ボロ雑巾のように髪を乱し汗だくの状態で帰ってきた。

以下略



826: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:25:02.04 ID:3+pD+bLQo
「私は、誰にも負けたくない。勿論、麗さんにだって負けたくない。だからこそ、麗さんの指導が必要なんです」

荒い息に喉を鳴らしながら、「お願いします」と食らいつく。

麗は、大きく息を吐いた。
以下略



827: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:25:28.31 ID:3+pD+bLQo

翌日から、仕事、学業、通常のレッスンの合間に麗の特訓が挿入された。

トップアイドルの世界を知る人間ゆえか、麗は意外と精神論や根性論が嫌いではないらしい。

以下略



828: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:25:56.24 ID:3+pD+bLQo
カフェテラスで数人のアイドルと一緒になったとき、第二課の気の小さめな子が、
凛に「もしかして、いじめられてるの……?」と心配そうに訊いてきたこともあった。

「あの人は私をいじめるためにしごいてるんじゃないよ。そもそも私がお願いしたことだしね」

以下略



829: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:26:27.35 ID:3+pD+bLQo
日高舞と云う、とても巨大な存在と比較され続けた麗。

舞の強大な背中を常に意識させられる中で走り抜けてきた彼女の“遺伝子”を、凛は受け継がむとしていた。

「あの人が孤独で引っ張ってきた世界に比べれば、私はまだまだぬるま湯の中。もっともっと吸収しなきゃ」
以下略



830: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 23:26:54.99 ID:3+pD+bLQo

麗の特訓は、体力ばかりの話ではない。

むしろ体力作りは基本中の基本だから、それは毎日やっておけと云うのが麗のスタンスだった。

以下略



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