47: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:44:26.58 ID:9XUzSbFIo
「俺が先に狙ってたんだからな」
カラスの代わりに目の前に立った猫はそう言うと、網戸をがしゃんがしゃんと叩き始めた。
しばらくしてびくともしないことにイライラし始めた頃、彼は怪訝そうに声を上げた。
48: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:44:52.98 ID:9XUzSbFIo
モモは記憶を探った。
でも目当てのものは見つからなくて、モモはうつむいた。
「思い出せないや……ぼく、記憶力ないから」
49: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:45:20.22 ID:9XUzSbFIo
「お前、その年でママなんて言ってるのかよ」
猫は笑った。
だがモモは静かに答えた。
50: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:45:51.11 ID:9XUzSbFIo
「あのクソババアは俺たちを置いて出ていった。ママなんて呼び方はふさわしくない」
猫は心底怒っているようだった。
51: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:46:18.63 ID:9XUzSbFIo
「彼女は子供と別れて忘れられることを恐れていた」
モモは続けた。
52: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:46:46.82 ID:9XUzSbFIo
「ごめん」
モモはうつむいて繰り返した。
53: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:47:34.84 ID:9XUzSbFIo
「泣くなよ……」
すっかり勢いをなくして猫が言った。
54: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:48:01.70 ID:9XUzSbFIo
モモは嬉しくて仕方なくなったので、背中に首を回して顔をうずめた。
日に当たった羽毛は、少し薄くなってしまった今でも十分温かかった。
「おい」
55: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:49:07.18 ID:9XUzSbFIo
日の光がオレンジがかってきたころに、飼い主はインコが網戸の前で丸まっているのを見つけた。
網戸の向こうには猫がいたが、インコを狙っているようではなかった。
おそらく雄と思われるその猫は、にゃあと一声鳴いてそれからゆっくりと去っていった。
56: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/08/14(金) 18:49:37.52 ID:9XUzSbFIo
おわりサンクス
57:名無しNIPPER
2015/08/14(金) 22:53:38.04 ID:tkUmKqJO0
よかった。ありがとう。
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