過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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103: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:38:18.49 ID:iuS/I4U4o
「そうそう」

 唐突に話題が転換される。

「ん? どしたの?」
以下略



104: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:39:54.35 ID:iuS/I4U4o
 目を覚ましてすぐの頃は目付きの鋭いおっちゃん達がこぞってあたしのこと訪ねてきたっけ。いずれあたしの記憶が失われていて、それが中々戻らないことがわかると訪問の頻度は大分下がったけど。
 しっかし、別の病棟かぁ。
 そうしたら今に比べて開放感溢れる生活になるのかもしれないけど、この人と中々会えなくなっちゃうんだろうか。それは気が進まなかった。けれど病院の判断である以上従わない訳にはいかない。ここで駄々をこねるほどあたしは聞き分けが悪くはなかった。
 
「そっかぁ……別の病棟かぁ」
以下略



105: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:41:45.54 ID:iuS/I4U4o
「それと、今度行く病室は相部屋みたい」

「相部屋? もう人がいるってこと?」

「えーっと名前は……うーん、外国の人かな? ……えらいな……?」
以下略



106: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:44:07.22 ID:iuS/I4U4o



 翌日、期待と不安を胸に抱きながら、あたしは今までいた病棟を後にした。新たな病棟の案内をしてくれたのは別の看護師。てっきり椎名さんがしてくれると思っていただけに少し残念な気持ちがあったが、やはり新しい風景というのは心を踊らせてくれる。どうにか記憶を取り戻すきっかけになってくれればいい、そう思いながら新しい病室へと足を踏み入れた。
 同じ病院内の施設ということで部屋の構造自体はそう変わりない。広さは16畳といったところ。窓は開けられていて、以前のような暗雲に満ちた空ではなく、少しだけ霞んだ青空が窓枠の中に広がっている。
以下略



107: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:45:36.71 ID:iuS/I4U4o
 見なきゃいけない。
 見ちゃいけない。
 会わなきゃいけない。
 会っちゃいけない。
 対抗する2つの感情が激しい火花を散らしてあたしの心を焦げ付かせる。
以下略



108: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:47:10.25 ID:iuS/I4U4o
 思わず口から驚嘆の言葉が漏れる。その扉の向こうにはベッドに腰を下ろし口元にまっすぐ人差し指を当てた女。
 ”声を出すな”ということだろう。いや、そんなことはどうでもよかった。
 その女を目にした瞬間、あたしの脳裏にいくつかの情景が浮かんだ。
 まるでテレビのチャンネルが切り替わるかのように──

以下略



109: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:49:37.97 ID:iuS/I4U4o
「阿万音さん、無事で良かった。心配した──」

 阿万音──
 その名を口にするということはあたしのことを知っている。そしてこいつはあたしに接触するためにこうしてここにいる。
 そう思うのとは別に、頭で考えるより先に体が動いていた。あたしは姿勢を低くし、脚部に力を込める。
以下略



110: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:50:43.94 ID:iuS/I4U4o
「オーケイ。あなたの質問に答える前に一言」

 両の手のひらをこちらに見せながら、自身のベッドに腰を下ろしたまま彼女は続けた。

「大丈夫。安心して」
以下略



111: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:52:14.70 ID:iuS/I4U4o
「覚えているのは、自分の名前……。そして君の名前だけ……」

「ふむん……あまり事態は好ましくないわね」

 あたしが答えると、彼女は口元に指を押し当て視線を床に移し呟いた。
以下略



112: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:53:45.83 ID:iuS/I4U4o
「あの、さ……」

 自分でも弱々しい声だな、って思った。
 声は届いていないらしく、彼女は依然として頭を抱えてぶつぶつと独り言を発している。あたしの信用を得られないことに対し本気で悩む彼女を目にし、あたしは少し罪悪感を覚えていた。
 冷静になって考えてみたら、彼女を見て記憶が思い起こされたのは確かだが、あの凄惨な状況を目の前に居るあたしと同じくらいの年の少女が作れるとは到底思えなかった。それに、映しだされた記憶の映像では40代くらいの女性だった。眼前の彼女はどう見ても10代後半か、20代前半といったところ。そうなれば今のあたしにある記憶と目の前の光景とでは矛盾が生じる。
以下略



113: ◆gzM5cp9IaQ[saga]
2015/10/04(日) 13:55:49.56 ID:iuS/I4U4o
「あのさ──」

 とその瞬間、扉が勢い良く開き──

「フゥーハハハ、差し入れを持ってきてやったぞ助手よっ! 感謝するのだな──」
以下略



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