過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:25:07.07 ID:OOOkqekxo
その後も椎名さんはちょくちょくうちに寄っては料理を作ってくれた。皆で料理をつつきながら談笑するその時間は何ものにも代えがたい時間だ。
牧瀬紅莉栖の作ったアップルパイに仮死状態にされそうになった時にはさすがにムカっと来たけど。あたしと岡部倫太郎がそのことを責め立てると牧瀬紅莉栖はムキになって突っかかってきたり。
以下略
166
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:27:07.39 ID:OOOkqekxo
そこまでは順調だった。食べるものも豪勢になっていったし、家具家電も充実していき、徐々に生活の水準も上がっていった。
けれど、IBN5100を購入して数日経った頃だった。その頃にはすでに椎名さんから借り入れていたお金も精算しきっていたし、IBN5100を1台購入したからといって無一文になるような資金繰りは行ってなかったはずなんだけど──
突然、牧瀬紅莉栖が塞ぎこんで自分の殻にこもるようになった。何か思いつめたような、そんな表情をして。これにはみんな、戸惑いを隠せなかった。
そんな変化が訪れて、とある日の晩御飯時。ご飯がよそわれた茶碗を片手にうつむき加減でぼうっとする牧瀬紅莉栖。
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167
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:29:04.83 ID:OOOkqekxo
「助手がそんな調子では我が未来ガジェット研究所はどうなる。資金繰りもまだ油断はできんのだろう?」
いつ未来ガジェット研究所なんて名前になったんだろう。
ってな疑問は置いといて、やっぱりそれでも反応はない。そんな様子に業を煮やしたのか彼はとうとう──
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168
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:30:55.92 ID:OOOkqekxo
「ね、ねえ牧瀬紅莉栖、いったい何があったの……」
おそるおそる聞いてみる。まるで腫れ物に触るみたいな言い方しちゃったな、と自分でも思った。我ながら情けなくなるほど。
「…………」
以下略
169
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:32:38.86 ID:OOOkqekxo
「俺が行ってくる」
「え? でも……」
普段些細なことで言い合っている彼が行っても火に油を注ぐだけじゃないかな、とは思った。けれどどう声をかけていいか皆目検討もつかないあたしは結局任せることにした。
以下略
170
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:35:18.84 ID:OOOkqekxo
いつの間にか眠ってしまっていたようで、気づいた時にはカーテンから漏れる一筋の光が眩しく輝いていた。テーブルに伏せるようにして寝ていたせいか、体がところどころ痛む。あたしは体中の血液循環を促進するためぐっと背筋を伸ばし大きく息をつく。同時にあたしにかかっていたタオルケットがスルっと畳の上に落ちた。誰がかけてくれたんだろう、と心の中で疑問を浮かべた。
ふと、台所の方から音がするのに気づく。気になって覗いてみるとエプロン姿の牧瀬紅莉栖がそこにいた。
「あ……」
以下略
171
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:36:50.63 ID:OOOkqekxo
「IBN5100を手に入れるという目標を達成することで、私はこの人生に意味を見いだせなくなってしまってたのかもしれない」
燃え尽き症候群だろうか。意外だった。彼女のような芯のある人がそんな状態になるなんて。
「……燃え尽きたの? ……真っ白に?」
以下略
172
:
◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:47:23.89 ID:OOOkqekxo
「と、友達と会えなくなるのは、誰だって悲しいじゃん……」
そう、あたしは嫌だった。牧瀬紅莉栖はあたしの友達だ。少し気が強すぎるところがあるけど、まっすぐで、いつも自信があって、凛としている。ある種の憧れのようなものもあったのかもしれない。
「ごめんなさい、でももう決めてしまったの。私は私の可能性にかけてみる」
以下略
173
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:50:14.63 ID:OOOkqekxo
あれから1週間が経って。
牧瀬紅莉栖は旅立っていった。海外へ移住するための手続きはほとんど必要なかった。彼女はすでに外国籍を持っていたから。
以下略
174
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/08(木) 13:51:33.83 ID:OOOkqekxo
「どうしたバイト戦士よ、お前も眠れんのか?」
”も”──?
彼も眠れてなかったようではっきりした口調で言った。
外国へ行く本当の理由。それをあたしはまだ知らなかった。岡部倫太郎ならばそれを知っているだろうか、そう思って聞いてみた。しかし彼も聞いていないようで、答えてはくれなかった。
以下略
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