過去ログ - 千早「私らしい私で」
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21:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:14:14.30 ID:m9aJzdw+0
千早「あずささんなら、きっと大丈夫よね……」

千早は不安そうにつぶやくと、店のドアを開けた。あずさも続いて店内に入る。
衝立の向こうは、飲食店らしくない内装だった。
ただでさえ狭い店内は、いくつかの大きなスピーカーでさらに窮屈になり、その窮屈な空間で数名の客が静かに話していた。
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:15:32.95 ID:m9aJzdw+0
あずさ「千早ちゃん、ここは……?」

マスターに案内され、席につくとあずさが尋ねた。

千早「音楽を聴ける店です。」
以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:17:21.77 ID:m9aJzdw+0
二人は注文を終え、しばらくの間音楽に聴き入っていた。
千早はジャズが好きだった。
華やかな音色やしっとりとした音色、そしてヴォーカル。前衛音楽や、他ジャンルの名曲までも取り込んでしまうジャンルとしての器の大きさ。
この店にはそれらを感じるために、立派なスピーカーがある。彼女は眼を閉じて、贅沢な音楽を堪能した。

以下略



24:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:18:50.31 ID:m9aJzdw+0
千早「あずささん、聴きたい曲があったらリクエストしませんか?」

あずさ「あらあら、いいのかしら?」

千早「もちろんです。私、あずささんの好きな曲に興味があります」
以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:21:31.04 ID:m9aJzdw+0
千早「やっぱり、いい曲ですよね。」

あずさ「そうね〜、本当にいい曲だわ。ピアノもいいけど、ホーン楽器も情緒があって素敵ね。千早ちゃんはリクエストしないの〜?」

千早「そうですね、じゃあ私も一曲」
以下略



26:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:22:53.82 ID:m9aJzdw+0
あずさ「何をリクエストしたの?」

千早が戻ってくると、あずさが尋ねた。

千早「カーメン・マクレエの『マイ・フーリッシュ・ハート』です。」
以下略



27:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:24:29.03 ID:m9aJzdw+0
千早「あずささんは、すごいですね。」

普段はこんなことは言えないだろう、と思いながら千早は言った。

あずさ「あら、急にどうしたの、千早ちゃん?」
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28:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:25:38.61 ID:m9aJzdw+0
千早「そんな、置いていかれるだなんて。みんな、少なからずあずささんを目標にしているんですから、自信を持ってください。」

あずさ「千早ちゃんに言ってもらえると自信がつくわ〜」

千早が力を込めて言うと、あずさは嬉しそうに笑った。胸を割って話すとはこういうことなのだろう、と千早は思った。
以下略



29:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:26:57.03 ID:m9aJzdw+0
千早「随分と居座ってしまいましたね。」

黄葉した銀杏を見ながら千早は言った。ほのかな風が吹き、秋の爽やかな空気を運んだ。

千早「私、あずささんと話せて楽しかったです。こんなに人と話したのは久しぶりでした。その……また一緒に来てもらえますか?」
以下略



30:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:28:02.73 ID:m9aJzdw+0
千早「なんでもうはぐれてるんですか!おかしいでしょ!!」

三浦あずさの迷子の才能に悪態を吐きながら、千早は辺りを捜索した。
そう遠くへは行っていない、というのが彼女の読みであった。彼女はあずさを探し、住宅街を回り、最終的に近くの大通りに出た。
しかし、あずさを見つけることはできなかった。
以下略



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