過去ログ - 千早「私らしい私で」
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29:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:26:57.03 ID:m9aJzdw+0
千早「随分と居座ってしまいましたね。」

黄葉した銀杏を見ながら千早は言った。ほのかな風が吹き、秋の爽やかな空気を運んだ。

千早「私、あずささんと話せて楽しかったです。こんなに人と話したのは久しぶりでした。その……また一緒に来てもらえますか?」
以下略



30:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:28:02.73 ID:m9aJzdw+0
千早「なんでもうはぐれてるんですか!おかしいでしょ!!」

三浦あずさの迷子の才能に悪態を吐きながら、千早は辺りを捜索した。
そう遠くへは行っていない、というのが彼女の読みであった。彼女はあずさを探し、住宅街を回り、最終的に近くの大通りに出た。
しかし、あずさを見つけることはできなかった。
以下略



31:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:30:12.14 ID:m9aJzdw+0
律子「あら、千早じゃない。どうしたのこんなところで?」

千早「律子……と、プロデューサー」

P「人をついでみたいに言うな。どうした?ぼーっとして」
以下略



32:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:32:38.61 ID:m9aJzdw+0
千早「それが、さっきまであずささんと一緒にいたのですけど、はぐれてしまって。あずささんが心配です。」

律子「あずささん?さっき会ったわよ」

千早「えっ、会った!?」
以下略



33:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:34:15.73 ID:m9aJzdw+0
千早は二人を観察した。プロデューサーはスーツ、律子は私服の青と白のブラウスにスカートを着ていた。
そしてプロデューサーの手には、少しばかりの買い物袋が握られており、袖口はさっきまで誰かに握られていたかのような真新しいしわがあった。
二人の様子は、単なるひと番いの男女以上の印象を千早に与えた。
少しからかってやろうと思い、千早は二人に言った。

以下略



34:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:35:21.40 ID:m9aJzdw+0
千早「ふふ、律子、やっぱりそうなのね。」

律子「そんなわけないでしょう。今日はたまたまプロデューサーと会ったから一緒にいただけよ。」

P「そうだよ、今日は律子の業界研究とやらに付き合わされて大変だったんだぜ?」
以下略



35:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:36:51.04 ID:m9aJzdw+0
千早「プロデューサーは相変わらずですね。この調子だと今日はずっと律子を困らせてるんじゃないですか?」

千早がため息混じりに訊くと、男は楽しそうに答えた。

P「まあ、りっちゃんは多少意地悪した方がかわいいからな。さっきあずささんを送ろうとした時なんかもう最高だったよ」
以下略



36:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:39:08.54 ID:m9aJzdw+0
律子「千早、迷惑かけたわね」

千早「気にしないで。それにしても律子、デートなんてすごい進歩ね」

律子「だ、だからデートじゃなくて……うぅ」
以下略



37:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:41:19.36 ID:m9aJzdw+0
千早「で、律子はこれからどうするの?プロデューサーの家で夕食を作ってあげる、なんてどうかしら?」

P「えっ、律子俺んち来るの?よし、じゃあいっしょに風呂でも」

悶絶していたプロデューサーが復活した。かと思うと、今度は体に律子の靴がめり込んだ。
以下略



38:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:43:00.09 ID:m9aJzdw+0
律子「それが、特にすることを思いつかないのよ。何かあればいいんだけど」

考える律子だったが、プロデューサーにはすでに計画があるようだった。

P「よし律子、俺に任せとけ。ついでに千早も来い」
以下略



39:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:44:39.29 ID:m9aJzdw+0
P「おい、千早」

歩きながら、突如プロデューサーが千早を呼んだ。

千早「はい、なんですか?」
以下略



40:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:46:25.68 ID:m9aJzdw+0
P「初めて会った時、千早には自分は変わりたくない、っていう雰囲気を感じたんだよな〜。正直、その雰囲気は魅力だったし、直すつもりもなかったんだけどさ、気づいたら事務所のみんな、特に春香が千早をどんどん変えててびっくりしたよ。」

千早は、天海春香のことを思った。
リボンを付けた、よく笑い、よく動き、よくこける小動物のような少女。
自分に起きた変化のほとんどは天海春香との出会いがなければ成し得なかっただろう。
以下略



41:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:48:57.87 ID:m9aJzdw+0
千早「たしかに、事務所のみんなの存在が私を変えてくれました。ただ、私が存在したことで、事務所のみんなは変われたと思いますか?」

千早が問うと、プロデューサーは少し考えてから言った。

P「もちろん、変われたさ。」
以下略



42:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:51:30.32 ID:m9aJzdw+0
千早「ありがとう、律子。プロデューサーもありがとうございます。」

千早は笑ったが、疑問が解消されたわけではなかった。
実を言えば、天海春香が如月千早と出会ったことで得られたものがあったのか、ということさえ分かれば後はどうでもよかったのだ。
春香が自分に与えたものと自分が春香に与えたものは釣り合っていないのではないか。
以下略



43:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:53:32.36 ID:m9aJzdw+0
P「う〜し、着いたぞ」

プロデューサーが連れてきた場所は、見慣れた建物だった。三人は古びた雑居ビルの前に立ち、建物を見上げた。

律子「765プロ……あなたは仕事のことしか考えられないんですか」
以下略



44:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:56:10.32 ID:m9aJzdw+0
P「千早は、これからどんな風になりたいんだ?」

考え込む千早に、プロデューサーが話しかけた。

千早「私は、歌で誰かを変えられる存在になりたいです。そのためには......」
以下略



45:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:57:28.82 ID:m9aJzdw+0
P「ははは、その辺は変わってないな。」

千早「変わらないものもあります。」

P「まあな。けど、千早がこれからどんな風になっていくのか、俺はすごく楽しみだよ。千早が頑張っている姿を見せてくれるだけで俺も頑張れるんだからな」
以下略



46:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 23:58:42.90 ID:m9aJzdw+0
春香「千早ちゃんや他のみんなが隣にいて一緒に歌っているだけで、私はアイドルやっててよかった、って思うんだよ!」


47:名無しNIPPER[saga]
2015/11/01(日) 00:00:06.41 ID:fkOZlYAM0
あの太陽のようにまぶしい笑顔を思い出した時、千早は、自分が春香に何も与えていないわけではなかったと気付いた。
確かに自分は春香に借りがあるが、それは返していけばいい。
いつか一人の親友として、かつて自分がされたように、天海春香を勇気づけ、考えを正し、手をとって導いていきたい。
そうなってみせよう。如月千早は、決意した。


48:名無しNIPPER[saga]
2015/11/01(日) 00:01:23.87 ID:fkOZlYAM0
律子「もしかしてプロデューサー、千早を口説こうとしてます?」

P「大丈夫だって、俺はりっちゃん一筋だから。アイドルはみんな可愛い娘っ子だ」

律子「そんなこと言っても誤魔化されませんよ」
以下略



49:名無しNIPPER[saga]
2015/11/01(日) 00:02:05.57 ID:fkOZlYAM0
地の文が書きたかっただけなのです。
以上


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